今の70歳代はいくら年金をもらってる?シニア世帯の生活収支は平均で3万円以上の赤字
2024年度の年金額は2.7%アップとなりましたが、「年金だけでは生活ができない」という方も多くいらっしゃいます。 ◆【年金グラフと一覧表】今の70歳代はいくら年金をもらっている?老後の収支は平均で3万円以上の赤字に 筆者はFPとして働いていますが、実際に年金受給世帯の方で苦しい生活を送っていらっしゃる方も見てきました。年金だけで生活ができないとなると貯蓄を取り崩していかなければなりません。 老後生活がどれくらい続くかは予想がつかないもの。今回は老後生活を安心して送れるように老後資金をどのように準備すればいいのか考えていきます。 まずは年金受給世帯がどのような生活を送っているのか深掘りしていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
老齢年金受給世帯の約6割「年金だけで生活できない」
厚生労働省が2024年7月に発表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の高齢者世帯は41.7%に過ぎません。 このデータから、老齢年金受給世帯の約6割が、年金だけでは生活できていないことがわかります。 では、いまのシニア世代は、毎月どれくらいの年金収入を得ているのでしょうか。 現役世代の方々にとっては、自分の両親以外のケースがわからず、本当に困窮しているのかどうかもピンと来ていないかもしれません。 そもそも、年金額を具体的にイメージできないという方も多いでしょう。 次章で、厚生年金・国民年金の平均受給額を確認していきましょう。
【70歳代】厚生年金と国民年金、平均はいくら?
ここからは、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金と国民年金の平均受給額を確認していきます。 年金は基本的に2ヶ月分が一度に支給されますが、資料に基づいて月額で見ていきましょう。 ●厚生年金の平均受給額(月額) ・全体:14万3973円 ・男性:16万3875円 ・女性:10万4878円 ※国民年金部分を含む ●70歳代の厚生年金平均受給額(月額) ・70歳:厚生年金14万1350円 ・71歳:厚生年金14万212円 ・72歳:厚生年金14万2013円 ・73歳:厚生年金14万5203円 ・74歳:厚生年金14万4865円 ・75歳:厚生年金14万4523円 ・76歳:厚生年金14万4407円 ・77歳:厚生年金14万6518円 ・78歳:厚生年金14万7166円 ・79歳:厚生年金14万8877円 全体の平均は14万3973円で、70歳代の多くはこの平均を上回っています。 ただし、個人差が大きいことには注意が必要です。 ●国民年金の平均受給額(月額) 続いて国民年金も同様に確認します。 ・全体:5万6316円 ・男性:5万8798円 ・女性:5万4426円 ●70歳代の国民年金平均受給額(月額) ・70歳:国民年金5万7320円 ・71歳:国民年金5万7294円 ・72歳:国民年金5万7092円 ・73歳:国民年金5万6945円 ・74歳:国民年金5万6852円 ・75歳:国民年金5万6659円 ・76歳:国民年金5万6453円 ・77歳:国民年金5万6017円 ・78歳:国民年金5万5981円 ・79歳:国民年金5万5652円 ●平均的な夫婦2人分の年金収入(月額) 上記の厚生年金・国民年金の平均受給額をもとにすると、平均的な夫婦2人分の年金収入は以下のように整理できます。 ・夫:厚生年金&妻:厚生年金=月額約27万円 ・夫:厚生年金&妻:国民年金=月額約22万円 ・夫:国民年金&妻:厚生年金=月額約16万円 ・夫:国民年金&妻:国民年金=月額約11万円 現役時代に夫婦ともに厚生年金に加入し、かつ平均的な年金を受給できた場合、夫婦の年金収入は月額約27万円となります。 しかし、ここから税金や社会保険料が差し引かれることを考えると、十分な額とは言えないかもしれません。 このデータからも、年金だけで生活するのが難しい高齢者世帯が多いということが見えてきますね。 老後の生活では、収入の高さよりも支出とのバランスが大切となります。 次章では、ではいったい老後の生活費がどれくらいかかるのか、確認していきましょう。