【固定残業の向こう側】薄給アラフォーです。生活が苦しいので、「固定残業以上」働いて「残業代」を稼ごうと思います。何かの法律に触れるでしょうか?
固定残業制度とは、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めておく制度のことをいいます。では、生活が苦しい場合、固定残業時間以上に働いて残業代を稼ぐことはできるのでしょうか。 そこで本記事では、固定残業時間を超えて働くことは法律に触れるのかということを解説します。あわせて、固定残業制度の概要についても紹介します。
固定残業制度とは?
固定残業制度の場合、あらかじめ給与のなかに残業代が含まれています。そのため、残業時間に関係なく、給与が支払われることになるのです。こうしたことから、「固定残業制度では、会社は従業員に対して、一定の給与で何時間でも残業をさせることができる」という間違えた解釈がされる場合があります。 もちろん、これは正しくありません。例えば、固定残業制度を導入している会社が「残業時間30時間で6万円」と決めたら、残業時間2時間でも30時間でも6万円というのが正解になります。「残業時間に関係なく」というのは、「あらかじめ決められた残業時間内であれば」というただし書きがつくのです。 このような誤解から、労働者が不利益をかぶらないように、厚生労働省では会社側に求人・募集の段階で以下のことを明示するように働きかけています。 ・「固定残業代を除く基本給の額」 ・「固定残業代に対する労働時間数、金額などの計算方法」 ・「固定残業時間を超えた場合の時間外労働、 休日労働および深夜労働に対して割増賃金を支払うこと」 例えば、固定残業時間が30時間の会社で、40時間残業をすると、10時間分の残業代を会社側は労働者に支払う必要があります。もし支払わなかった場合は、労働基準法違反になります。労働者は会社側に残業代を請求することが可能です。もし支払ってくれない場合、労働基準監督署に相談するとよいでしょう。
固定残業時間を超えて働くことは可能か?
結論からいうと、固定残業時間を超えて働くことは、条件付きで可能です。労働基準法によって、労働時間は「1日8時間、1週40時間まで」と定められています。 ただし、会社と労働組合の間で36協定を締結すると、時間外労働は「月45時間、年間360時間まで」設定することが可能です。言い換えると、月45時間以上、残業できないことになります。 今の会社の給与では生活が苦しいようであれば、転職を考えてみるのも1つの手です。また、借金など何か事情があって、生活が苦しいのであれば、家計を見直すなどの工夫をするようにしましょう。