巧妙化する詐欺。騙されない考え方とは?
『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)の「ズバリこの人に聞きたい」コーナーでは毎週、話題の本の著者にパーソナリティの北野誠がインタビューをしています。7月6日の放送で紹介した本は『全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法』(東洋経済新報社)。ダニエル・シモンズ、クリストファー・チャブリス著の本ですが、今回はこの本の解説を行なっている作家の橘玲さんに話を伺いました。この本では巧妙なマーケティングや偽物を売りつける業者、怪しい健康情報など、ずる賢い手口を暴いて意思決定のための思考スキルをマスターするための方法が書かれています。
良いところだけを見てしまう
詐欺は日々新しい手口が生まれ、いつまで経ってもなくなりません。やはり人間というものは騙されやすいものなのでしょうか? 橘さんはまず、「脳の仕様として騙されやすいというのは間違いない」と語りました。 例えば投資詐欺の手口で、「〇〇の会社の株が今、ものすごく上がっているのを昔から言い当てていた」とアピールしているものの、よく考えてみると、外れたケースは口外しません。 これは「サバイバル・バイアス」と呼ばれ、生き残ったものだけを強調するというものです。 例えば、年末ジャンボ宝くじで実際に何億円も当てた人の記事ばかり見ていると、外れた膨大の数の人たちに目を向けていないことがあります。 橘さんは人間が騙されやすい理由の1つとして、「自分が世界の中心だと無意識のうちに思ってしまうこと」を挙げました。 そうすると「自分には特別なことが起こるに違いない」「事態が大きく変わるようなことが起こって欲しい」とかんがえてしまいがちです。 そこを詐欺師に突かれてしまうのです。
細かい数字に人間は弱い
また詐欺師の特徴として、データを使うこともあります。 「約〇〇」というあいまいな言い方ではなく、小数点まで出てくるような数字を使われると、つい信用してしまいがちなのだそうです。 橘さん「細かいことを言われたほうがなんとなく信憑性が高いというふうに思われてしまうとか、脳の癖みたいなものを徹底的に研究されているので、なかなか抵抗するのは難しいと思いますね」 数字の根拠がデタラメでも、「ここまで細かい数字であれば、きちんと研究しているに違いない」と思ってしまうようです。 頭が良くないと詐欺師に勝てないと思いそうですが、実は賢い人ほど逆に詐欺のターゲットにされるのだそうです。 橘さん「たくさんのお金を持っている人を騙す方が効率が良いっていう。結局、人間はバイアスから逃れられないから、どうせ騙すんだったら自分のことを賢いと思っている、それなりに成功してお金を持っている人を騙した方が効率が良いということになっちゃいますよね」