フジロックが好きで移住した女性「続けるためにも、働く人を増やして経済・観光を支えていく」 ここまでやるか…“持続可能なフェス”支える人たち
また、フジロックは“音楽と自然の共生”にも取り組んでいる。木々が生い茂る森の中に作られた木道は新潟県の木で作られたボードウォークだ。海外のある調査では、人々の移動やグッズ販売なども含めた一回の音楽ツアーで排出される二酸化炭素のうち、およそ34%が会場から排出されているという。 「フジロックの森プロジェクト」では、二酸化炭素を吸収し地球温暖化の防止にも貢献するこの豊かな自然を次の世代に残そうと、街や来場者が一体となって森林の活用や保全活動を行っている。 「自然と触れ合う楽しさみたいなものも、このイベント内で感じてくれたらうれしい。森林の循環や環境負荷をかけないところは、まだまだできることがあるので、現状にとどまらず積極的にそういった取り組みを行っていくフェスでありたい」(フジロックの森プロジェクト 米田梓さん) こうした数々の取り組みから、フジロックは「世界一クリーンなフェス」とも呼ばれることも。そんなフジロックをこれからも続けるためには、「フェスを町の中から支える人の存在」が課題となっている。 「宿泊業や飲食業など様々な働く人の手が足りていない状況。20~40代の働く世代を呼び込む」 こう話すのは、大のフジロック好きで5年前に千葉県から移住してきたという伊藤綾さん。現在は湯沢町への移住支援を行う会社を経営している。フジロックの開催中は、来場者に向けた移住相談ブースを出展。訪れた人に物件や補助金などを説明した。 5年間でおよそ150人の移住に携わったという伊藤さん。湯沢町を持続可能なまちにしていくことを目指している。 「外からイベント会社の方が来られても、現場のことがしっかり分かっていて陣頭指揮が執れる方がいないと成り立たない。フジロックをここで続けていくためにも、働く人を増やして街の経済や観光産業を支えていかないといけない」
フジロックの取り組みについて、かつて新聞社で音楽担当を務めたダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介氏は「フジロックはもともと分別のある大人のファンが多い。『世界一クリーンなフェス』の名に恥じず、環境対策にも力を入れている印象だ」と語る。 「『持続可能』という言葉には、いくつもの意味がある。1つはシンプルに地球環境を保護していくこと。2つ目はゴミの分別などマナーとモラルを遵守して、近隣住民との関係性を良好に保つこと。そして3つ目に、新規ファンが参入しやすい環境をつくり、フェス文化を守っていくことだ」と指摘した。 さらに神庭氏は「今、夏フェスができることは、実はすごく貴重なことかもしれない」との見解を示した。 「サザンオールスターズは、今年で夏フェスを卒業することを宣言した。桑田佳祐さんは冗談まじりに『我々高齢者バンドにとって、令和の夏は暑すぎるよ』とコメントしたが、最近の酷暑は若い世代にもツラい。10年後、20年後も夏フェスが今の形で残っているのかどうか、誰にもわからない。ある意味『温暖化の最前線』とも言える夏フェス会場で、地球環境に思いを馳せるのもいいのではないか」 (『ABEMAヒルズ』より)