【ヴェルサイユへ行こう!】マリー・アントワネットの「2つの寝室」に人気インテリアコーディネーター伊藤直子さんが注目した理由
マリー・アントワネットの寝室2:プチトリアノンの隠れ家はネオクラシック様式(ルイ16世様式)
プチトリアノンのなかでも、アントワネットならではと感じさせるのが、プチトリアノンの寝室。 スモーキーグリーンの壁に白いモールディング、小さなバラや矢車草柄のカーテンやベットリネンなどのコットンファブリックで埋め尽くされたナチュラルスイートな部屋は、ヴェルサイユ宮殿のロココの豪華な寝室とは打って変わって、まるで素朴な夢見る少女が横たわっていたるようです。 アントワネットの運命の恋人フォン・フェルゼンがプチトリアノンに通ったかどうかは定かではありませんが、こんな部屋を見ると、そこには切なく恋する乙女心を感じずにはいられません。 2人の関係は長いこと秘密にされてきましたが、19世紀に2人の手紙が多数見つかったことによって、その純愛の深さが感動を呼び、のちに悲劇の王妃としての伝記が書かれ、そして日本ではかの『ベルサイユのばら』も生まれることとなります。 この隠れ家プチトリアノンの建設にかかった費用は膨大で、あの血生臭いフランス革命のきっかけにもなったといわれているので、なんとも切ない話ですね。 アントワネットは音楽好きでも有名で、自ら演奏したりオペラを演じることもしばしばあり、プチトリアノンのサロンにはピアノやハープなどの楽器が備えられていました。 このインテリアを見ると、王妃としての嫌な義務をすべて忘れて、愛する子供たちや親しい友人とだけ過ごすこのひとときが、どんなに彼女にとって幸せな時間だったか…想像できる気がします。 【Profile】 伊藤直子(いとう・なおこ) 百貨店にて外商顧客向け住宅インテリアデザインにかかわったのち、独立してRIDEAUX(リド)を立ち上げ、住宅・モデルハウス・レストラン・ショールームのインテリアデザイン・スタイリングを手掛ける。 町田ひろ子インテリアアカデミー講師として、後輩の育成にもあたる。 国産材などを使ったスタイリングが日経新聞などのメディアにも多数紹介される。 連載当時から漫画『ベルサイユのばら』の大ファン。