電気で「塩味」を与える日本発のスプーン、米国でも注目--実際に試してみた
正直言って、低ナトリウム食品の多くはあまり美味しくない。それが原因で、多くの人が高血圧の改善や心臓病の予防に、低ナトリウムの食生活に切り替えるのが難しいのが現状だ。しかし、その問題を解決するかもしれないアイテムが、CES 2025で注目を集めた。 【画像】すべての画像を見る 日本のキリンホールディングスと明治大学らが開発した「エレキソルトスプーン」は、食事に塩味を加えることができるが、ナトリウムを全く使わない優れものだ。CES 2025で注目された製品の一つで、CESアワードの「2025年デジタルヘルス、アクセシビリティ、エイジテック部門」で受賞を果たした。 このスプーンは、スプーンから舌に電流を流し、塩味を感じさせる仕組みだ。電気と舌の組み合わせに違和感を覚える人もいるかもしれないが、心配無用で、弱い電流しか使わない。 エレキソルトスプーンは2つのパーツで構成されている。スプーン本体と、技術部品を内蔵した着脱可能なハンドルだ。ハンドルには4段階の塩味レベルを調節するメニューボタンが付いている。スプーン自体は手に持つと少し大きめで、内部にバッテリーや電子部品が組み込まれているため仕方ないだろう。 このアイデア自体は興味深いが、実際に試してみると、「まあまあ」という印象だった。デモで提供されたスープの味の変化を説明すると、電流が流れると「味がより濃くなる」感じだった。強弱の違いもわずかに感じられた。キリンのリリースによると、体験は個人差があり、食べ物によっても感じ方が異なる場合があるらしい。 このスプーンは確かに宣伝通りの働きをするが、電流を作動させるには少々コツがいる。ハンドルは太めで、背面のセンサーに触れないと電流が流れない。手の器用さ次第では、幼児が握るようにハンドルを握り込む必要があるかもしれない。また、スプーン部分には食べ物が触れるセンサーがあり、ここに食べ物が正確に当たらないと塩味を感じられない。ハンドルのボタン下にある青いランプが白に変わると準備完了だが、食べ物がセンサーからずれると電流が途切れ、塩味も消える。 センサーに触れつつ食べ物を正しい位置に持っていく作業は、バランスを取るのが面倒になりそうだ。 エレキソルトスプーンは、ナトリウム摂取を減らすという重要な使命を持つ面白いコンセプトだ。健康上の理由で急いでナトリウム摂取を減らす必要がある人には、大きな助けになる可能性がある。実際に試した際、スープの味が確かに強化された。ただし、まだ完全にこのスプーンに頼り切るのは難しいかもしれない。作動に手間がかかる点や、プラシーボ効果の影響を完全に排除できない点が理由だ。 エレキソルトスプーンは日本で販売されており、今年中に北米でも入手可能になる予定。価格は約125ドル(日本では税込1万9800円)で、スプーンとしてはやや高価に感じられるかもしれない。また、ペースメーカーやその他の医療機器を使用している人はこのスプーンを使用しないよう注意が必要だという。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。