暗号資産の悪い面ばかりをメディアが好む理由
DePIN
しかし、2022年のサム-バンクマン・フリード氏の不名誉な転落以来、暗号資産を使って現実の世界を再構築する新しい取り組みが登場した。DePIN(分散型物理インフラネットワーク)だ。DePINでは、個人はリソース(データや接続性など)の提供と引き換えに、報酬を得ることができる。いわば、インフラをクラウドソーシングすることで、DePINプロジェクトは大手企業と競合し、より安価で利用しやすいサービスを提供できる。 オピニオン誌「The Atlantic」はすでに、メッサーリ(Messari)のアナリストが作った造語であるDePINを「退屈」と呼んでいる。しかし、DePINはすでにレガシー業界の市場構造を変えつつある。現在、14億ドル以上の資金調達を行った、1400以上のDePINプロジェクトが存在する。しかし、もしあなたがThe Atlanticとウォーレン上院議員のソーシャルメディアフィードだけを頼りにしているなら、この業界は詐欺的だと考えるだろう。 DePINの顕著な例として、携帯基地局やWi-Fiスポットの展開をクラウドソーシングし、分散型モバイル通信網を構築するヘリウム(Helium)がある。12万以上のアクティブなモバイルプランが提供されているヘリウムは、運用コストをネットワークの限界まで押し下げることで手頃な価格の接続性を提供している。しかし、2022年にトークン価格が90%下落したことを受けて、ヘリウムを詐欺と呼び、失敗と位置づける報道も見られる。 これらはすべて、ヘリウムの事業がIoTネットワークから携帯電話事業者に変貌したことを理解していない。この誤解は、トークン価格が不安定なことによって、実際の事業展開が覆い隠されてしまうことを表している。ヘリウムのような暗号資産ネットワークは多くの場合「反脆弱性」を持ち、極端な価格変動が誤解を招くようなストーリーを煽り立てるなかでも、不安定さを通じて適応していく。