“もぐもぐタイム”復活の渋野日向子にスランプ脱出の兆し?!
6月の今季国内初戦の「アース・モンダミンカップ」も予選を通らなかった。 国内3戦目となる「TOTOジャパンクラシック」は予選カットのない3日間大会。「予選落ちがないから結果を気にせずに初日から攻めることができる」と精神的には楽に臨めたはずだが、失意の英米遠征の後遺症のような“症状”が渋野の持ち味である「思い切りのよさ」や「明るさ」「笑顔」を消してしまっていた。 「去年はイケイケドンドンみたいな感じだった。あまり考えずに、自分らしくできていた。でも、今の私はそれでは前に進めない。今は結果より内容。いろいろ考えてやっている。だから頭が疲れる。ラウンド中にお菓子を食べる余裕はありません。笑っている余裕もありません。18ホールがすごく長く感じますね」 試行錯誤の大会初日は1アンダーの71。今季国内5ラウンド目で初めてアンダーパーで回った。第2ラウンドは今季国内初の60台となる3アンダーの69。最終ラウンドは海外を含めて今季初のボギーなしで回った。それでもトレードマークのスマイルは、ほとんどなかった。 「悔しがっても、次の日に、また新しい日が始まる。くよくよしていても前に進めない」 「結果に対する気持ちが強すぎると、今は元気でも病んでしまう」 練習日から続いた後ろ向きのコメント。最終ラウンド後も、「めちゃくちゃ悔しい。後半は全部パーオンしたのに1個も(バーディーパットが)入らなかった。情けない。同じことを何回繰り返すんだろう」とため息をついた。だが、優勝した昨年11月の「大王製紙エリエールレディス」の最終日以来、今季は海外6試合を含む9試合26ラウンド目でのボギーなしラウンド。その事実が渋野に“らしさ”を取り戻させた。 「ノーボギーはいつぶりだろう。今年はなかったし、そこは褒めていいですね。あれだけパッティングで悔しい思いをしたということは、ショットがすごくよかったということになる。ポジティブに考えた方がいいですよね。うん!」
最終ラウンドでは、昨年、話題になった“もぐもぐタイム”も復活した。 「すごくお腹がすいて」とキャディーバッグの中から何度もお菓子を取り出した。前日まで感じることのなかった空腹感。お菓子を食べる余裕が生まれたのだから、もうスランプ脱出の出口が見えてきたのかもしれない。 不振の原因となっている課題のアプローチ、苦手のバンカーショットは、早急に改善しなければならない。だからといって、必要以上に暗くなることもない。シンデレラの魔法が解ける午前零時まで、まだまだ時間はたっぷり残っている。