「すぐそこのマンションよ」「役所はそんな許可出してないって言ってたぞ」…ヤバすぎる《嘘つきドライバー》が多すぎる現実、78歳シニア交通誘導員の「悲哀」
マンションの住民かと思いきや…
住宅街に近い工事現場で柏さんが車両通行止の立哨していると、1台のクルマが現場の方向へまっすぐ進んできた。 「すみません。通り抜けできません。どちらまで行かれます?」 女性ドライバーは「すぐそこよ」と指をさす。 「ほら見えるでしょ。そこのマンション」 どうやら工事現場の手前に建つマンションの住民のようだ。「どうぞお通りください」と柏さんはクルマを発進させた。 ところが、クルマはさきほど指をさしたマンションに入らなかった。あろうことか工事中の現場のすぐ手前で停車していたのだ。作業員たちが慌てて鉄板で道を作る。 「いったいあんたは何のためにそこに立っているんだよ」 現場監督が怒り心頭で文句を言いに来たが、柏さんは悪くない。 「いや、そこの白いマンションだと言ったので」 「あの女は『ガードマンがまっすぐ行けますと言ってきたから来た』と言っていたぞ。もっとしっかり相手の話を聞かなければダメじゃないか」 そう言い残し、監督は現場に戻っていった。 なぜドライバーはこうも嘘をつくのか。柏さんはため息をつく。 「ドライバーのなかには迂回したり、バックをしたりするのを嫌がる人もいます。とりあえず工事現場の前まで行けばなんとかなるだろう、と交通誘導員にデタラメを言ったりするんです。工事が中断してしまうので本当に勘弁してほしいですね」 〈「交通誘導員は最底辺の仕事だよ」「金があったらやらないね」…現場のシニアたちが自嘲するなか、ひとりの若手が「ここで働けて嬉しい」と語った深いワケ〉に続く。
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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