メディアで喧伝された中田英寿の「孤立」、福西崇史は「仲が悪かった」のか…「意見はぶつかる」けど
メディアにつくられた「孤立」
中心メンバーとしてむかえた2006年W杯ドイツ大会では、1次リーグでブラジル、クロアチア、オーストラリアと対戦。1分け2敗という悔しい結果に終わった。
このW杯では、第3戦のブラジル戦後に、中田英寿さんがピッチに寝転んで涙したシーンが印象的だ。中田さんはこの大会を最後に現役を引退した。
「(選手たちは引退について)全く知らない。『何してんの? 呼んでこい、早く』って言ったんだ、俺。(サポーターに)あいさつに向かう時、あいつ寝てたじゃん。(引退は)メディアで知った。事前に言えば良いのに。そうしたら、若い選手は特に『ヒデのために』となった。若い選手がヒデとコミュニケーションを取るのが難しかった部分もあったわけ」
ジーコジャパンは、中田さんの「孤立」がメディアで喧伝された。
福西さんも「ヒデと喧嘩したってメディアに出たんだけど……」と言う。
「いまだに言われるんだよ、『ヒデと仲悪いんですか?』って。別に悪いわけでもないけど、遊ぶペースが違うし頻繁に会うことはない。用事があれば電話するぐらいかな。喧嘩をしてるわけでもない。(ポジションが中盤同士だから)意見はぶつかる。それは当然なんだけど、メディアは喧嘩(けんか)したと、『孤立』を作り上げちゃう」
福西さんにとって、中田さんら海外移籍をスタンダードにしていった選手たちは、「カズ(三浦知良)さんもそうだけど、海外に出て戦わなければならないという意識の高さ。語学を含め、サッカーへの取り組み方を学ぶことは多かった。世界と日本を近づけた選手のひとり」と言う。
「ある意味、ストイック。自分のペースをしっかり持ってるので、難しいっちゃ難しい。近づけないオーラもあるわけだから、難しいよな。でも、彼なりに自分がすべきことをしつつ、チームのことも考えてもいた。コミュニケーションがもっと取れたらよかったなとか、周りの選手が取らなきゃいけなかったなとか。結果論にはなるけど」