大人になると暗記できなくなるのはなぜ?脳には役割ごとに8つの脳番地がある!?【50代からの脳トレ①】
年齢とともにもの忘れが増えたり、名前を覚えられなくなったり、勉強したことがなかなか身につかなかったり…。「もうそういう年齢だし」と諦めるのはもったいない! 脳は、80歳を過ぎてもなお成長し続けることができる、体の中では稀有な存在だ。大人ならではの「脳の使い方」を、脳内科医の加藤俊徳さんに教えていただいた。
人生経験の豊かさゆえに「大人は“暗記”が苦手」
仕事で会った人の名前が覚えられない、スキルアップのための勉強がなかなか身につかない…。 こんな経験がある人は多いと思うが、それを「年齢による脳の劣化」と考えるのは待ってほしい、と加藤先生。 「ものを覚えるのが苦手になるのは脳の機能低下ではなく、若い頃と脳の使い方が変わってくるからです。子どもの若い脳と大人の脳の一番の違いは無意味記憶ができるか否かです」 無意味記憶とは、意味をなさない、意味がない言葉でも聞いたままに覚えられる力のこと。 「わかりやすい例を挙げましょう。試しに『ポテトサラダ』を反対にして言ってみてください。おそらく小さな子どもほどそれをすぐ覚えて口に出せるでしょう。 でもポテトサラダについて作り方や味のバリエーションなど、関連したさまざまな事柄ごと記憶している大人にとっては、反対から言う『ダラサトテポ』は意味をなしません。そのため非常に覚えづらいのです。 人は大人になるにつれてさまざまな経験や知識を積んでいき、それに伴って思考力、判断力、決断力などが磨かれていきます。そして言葉の持つ意味が関連づけられていきます。それと反比例するように、意味をなさないものは記憶に残りづらくなっていくのですね。 無意味記憶ができなくなってくるのは、個人差はありますがだいたい20歳を越えたあたりからと考えられます。そして思考力や判断力などの能力が上がっていき、だいたい30歳くらいでようやく大人脳として完成。そこから50代で脳の機能はピークを迎えるともいわれます。 脳細胞自体はもちろん子どもの頃のほうが多いのですが、機能と細胞の数は単純には比例しないということなのです」 脳を体力や筋力にたとえてみるとよくわかるそう。 「体力や筋力のピークは女性は14歳くらい、男性は17歳くらい。つまり中高生です。でもプロのアスリートで非常に脂がのって第一線で活躍している人はもっと年齢が上ですよね。20代後半から40代の人だっています。 たとえ体力や筋力がピークであっても若すぎるうちはそれを生かし切れず、そこから経験と努力を重ねていくなかで、能力をどんどん進化させていくことができるのです」