決勝前に合流した「27人目の選手」。ようやく献身が評価されたモラタ。スペイン優勝の舞台裏を番記者が明かす【現地発コラム】
誰も予想していなかったオジャルサバルが現われた
勝利の火付け役となったのは、普段はこちらはネガティブな形でスポットライトを浴びることが多いアルバロ・モラタだった。先制点の場面、ヤマルがボールをキープすると、モラタはダイアゴナルランで裏に抜け出し、ニコ・ウィリアムスがフリーでパスを受けられるスペースを作った。 しかし、得点後、カメラが捉えたのはモラタではなく、7番のオフ・ザ・ボールの動きのおかげで気持ちよく叩き込んだニコ・ウィリアムスだった。もっともモラタはこうした扱いにはもう慣れっこだ。 攻めあぐんだ前半を経て後半開始早々のゴールだった。ロドリとファビアンの姿は霞んでいた。ダニ・オルモもほとんどプレーに関与しなかった。ボールが繋がらず、相手に予測され、スローテンポの攻防が続いた。要するに、スペインにはリズムがなかったのだ。そのリズムをもたらせる選手はスタンドから戦況を見守っていた。 「ガビは27人目の選手として、ともに戦ってくれるだろう」とデ・ラ・フエンテが予言した通り、ガビは決勝戦前にベルリン入りし、チームに合流していた。昨年11月に右膝前十字靭帯を完全断裂し、現在リハビリの最終段階に入っているアスルグラナの選手は、終日チームメイトと一緒に過ごした。 前半のスペインに欠けていたのは、そのガビの電光石火のサッカーだった。敵将のガレス・サウスゲイトが仕掛けた蜘蛛の巣のようなイングランドの中盤がスペインの動きを鈍らせ、ロドリ任せの状況に陥っていた。 ラ・ロハにとってさらに悪いことに、その大黒柱が前半終了間際、足を懸命に伸ばしてハリー・ケインのシュートをブロックした際に、ハムストリングを痛めた。ロドリはハーフタイム後、ピッチに戻ってこなかった。 しかし、スペースはロドリの頭脳ではなく、モラタの犠牲精神によって作られた。ゴールは当然のことながらニコ・ウィリアムスが、アシストはヤマルが決めた。しかし、決勝はさらなるサスペンスを求めた。そして、ロドリに続いてモラタもピッチを後にした後、デ・ラ・フエンテを除いて誰も予想していなかったオジャルサバルがベルリンオリンピックスタジアムに現われ、試合にけりをつけた。 文●ファン・I・イリゴジェン(エル・パイス紙スペイン代表番) 翻訳●下村正幸 ※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
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