【独自解説】“声を挙げた人”を保護する『公益通報者保護法』、死亡した元幹部職員には適用されず…なぜ守れなかったのか?兵庫県・斎藤元彦知事が下した“不適切な判断”を専門家が指摘
兵庫県・斎藤元彦知事の“パワハラ”“おねだり”などの疑惑を告発した元幹部職員が死亡した問題。兵庫県が行った調査や処分は正しかったのか?百条委員会で言及された『公益通報者保護制度』とは?淑徳大学教授・日野勝吾氏と元鳥取県知事・片山善博氏のダブル解説です。 「信じるに足る相当な理由が存在しない」と反論 兵庫・斎藤知事、告発の元幹部を保護対象でないと判断【写真で見る】
■「死をもって抗議する」定年取り消し・役職解任・停職3か月…斎藤知事を告発した元幹部職員に、一体何が起きていたのか?
2024年3月12日、元幹部職員は『告発文』を報道機関などに送付。そして、元幹部職員に対して人事課を中心に内部調査を進めていると公表した同月27日、告発文について斎藤知事が「事実無根の内容が多々含まれている。嘘八百を含め、文書を作って流す行為は公務員失格」と強い言葉で叱責しました。さらに兵庫県は、同月末に迎える予定だった元幹部職員の定年退職を取り消し、役職を解任。
同年4月4日、元幹部職員は『公益通報制度』を利用して県の窓口に相談し、担当部署が手続きを開始しました。しかし、同年5月7日、『公益通報制度』の結果を待たずに、兵庫県は内部調査の結果「核心的な部分が事実と異なる」として、元幹部職員を停職3か月の懲戒処分に。
同年6月13日、一部の県議から「内部調査では信用できない」との声があがり、県議会が『百条委員会』の設置を決定。しかし、その翌月の7月7日、元幹部職員は「死をもって抗議する」という趣旨のメッセージを残し、死亡しました。元幹部職員は『百条委員会で発言する内容をまとめた陳述書』『“おねだり”疑惑に関する音声データ』を残していて、同月19日には『百条委員会』が開催されました。
新たな情報として、元幹部職員が相談した兵庫県の『公益通報』担当部署によると、「通報を受けて調査に入った」「一部、強く叱責を受けた職員を確認した」としていて、『ハラスメント研修』や『贈答品の受領基準の明確化』など、是正措置を求める方向で検討しているということです(内容・時期など未定)。
■「『公益通報者保護法』は“声を挙げた方”を保護する制度」なぜ元幹部職員は保護されなかったのか?専門家が指摘する、斎藤知事が行った2つの“不適切な判断”とは?
百条委員会で言及されたのが、『公益通報者保護法』です。無所属・丸尾牧県議からは「公益通報という観点から、県当局の対応が妥当かどうか、検証が必要」、公明党・越田浩矢県議からは「公益通報者保護の観点から、(元幹部職員への対応は)とんでもない状況。百条委員会でしっかり検討する必要があるのでは」という発言がありました。 『公益通報者保護法』とは、「不正の目的でなく、事業者内部の法令違反行為を通報した労働者等は、事業者による解雇等の不利益な取り扱いから保護される」というものです。ただ、県の内部調査に協力した藤原正廣弁護士は2024年5月7日、「(元幹部職員の)文書で記載されているのは、公職選挙法や地方公務員法(に関わるもの)であって、国民の生命身体に関わるものではないので、『公益通報者保護法』がいう公益通報には当たらない」としていました。
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