自分にふさわしい方程式を作ることで、何が必要で、どういう行動を取るべきかが見えてきます（※写真はイメージ）。（C）Getty Images

　テニス競技はメンタルによって大きく結果が左右されるスポーツです。しかし、メンタルを強化したいけれど「なんか大変そうだ」と敬遠している人はいないでしょうか。 【画像】ナダルはじめ、なかなか見られないトッププロの練習やテニス教室の様子 　本シリーズでは一般プレーヤーに向けて、伊達公子氏や浅越しのぶ氏といった日本テニス界をけん引したトップ選手の指導経験を持つメンタルアドバイザー椙棟紀男氏に、簡単に身に付くメンタルの強化方法を伝授してもらいます。 ＊　＊　＊ 　人生を考えた時、自分にふさわしい方程式があった方がいいと思っています。以前、大学の授業で学生たちに方程式を作ってもらいました。 　例えば「学生生活＝」では、青春、情熱、資格、遊び、アルバイト、人との出会いなどの言葉が挙がりました。次に「幸せ＝」では、いい人間関係、温かな家庭、健康な身体、趣味、好きな人がいる、充実感などが出てきました。ある学生は、「幸福＝健康×（仕事＋人間関係＋家庭）」という方程式を発表してくれました。 　方程式は、まずテーマを決め、それにふさわしいキーワードを当てはめて出来上がります。例えば、人生の結果 ＝思い × 考える力 × 才能 × 運 　この方程式「人生の結果＝」について、少し説明を加えます。 　 　人生の結果はハッピーな方がいい。そのためには、①なりたい自分を思い続ける情熱が不可欠です。次に、②考える力には知性と計画性が必要です。そして本質を見極める洞察力が求められます。 　③才能については、努力ができる才能と感じたことを実行に移す才能です。最後に、④運がつく生き方が鍵になります。運は基本的には他者によって運ばれてきます。相手に対する思いやりの心が大切です。 　このように、方程式を作ることで、自分には何が必要で、どういう行動を取るべきかが見えてきます。 「現象と本質」についても一言触れておきます。「試合になると実力が発揮できない」「サービスが入らない」「勝てない」などの現象面に気持ちが行きがちです。しかし、現象ばかりにとらわれていると、肝心の本質から遠ざかります。 　本質とは現象を生んだ人間性にあります。自分の方程式を持っておくと、本質を見失わずにすむのです。 　人生にはシクシク泣くマイナス面（４×９＝36）と、はっはっと笑うプラス面（８×８＝64）があり、合わせると100になります。この方程式からわかるように、人生は「プラス＝楽しいこと」の方が多いはずですよ！ 構成●スマッシュ編集部 ※スマッシュ2022年４月号から抜粋・再編集