設立から116年 日本最古の旧車サークルが発祥の地で旧車祭を開催、日本各地から約150台が展示
人力車やトゥクトゥクも登場
晴れやかな天気に車体が映えた。東京・国立市の谷保天満宮で8日、「谷保天満宮旧車祭」が開催された。周辺3会場に茨城や名古屋、兵庫など全国からファンすいぜんの貴重な旧車が約150台が集結、集まった多くの聴衆から歓声があふれた。 【写真】ホーンを鳴らしながら走る様子に人々くぎづけ…「タクリー号」の外装ショット 「東日本最古の天満宮」であり、菅原道真を祀る同地。116年前の1908年、「自動車の宮さま」と呼ばれた有栖川威仁親王がこの地を目的地に「遠乗会」を開催した。これが日本初のガソリン自動車遠乗会といわれている。主催の旧車サークル「Automobile Club Japan (ACJ)」はこの時に設立されたものだ。「日本最古の自動車倶楽部」でもあるという。 オープニングセレモニーでは、今年から参加した人力車が登場しあいさつ。境内には現在でも高い人気を誇る往年の国産車、外車が多数展示され、訪れた人々は各オーナーの説明を受けながら写真を撮影するなど思い思いの時間を過ごしていた。 また、会場には国産第一号のガソリン車である通称「タクリー号」のレプリカも登場。「ガタクリガタクリ」走行する様子からその名が名付けられた同号は、1907年に製造された実車が現存していない文字通り「幻の1台」だ。ACJが1930年製のオースチンセブンを基に製作したレプリカを、同祭実行委員長の是枝正美氏が会場で運転すると聴衆の視線を独占。コンパクトなブルーの車体と、「パフパフ」とホーンを鳴らしながら走る様子が印象的だった。 おととしまでバスで運行していた国立駅から会場までの輸送は、昨年から主にタイでタクシーとして使用されている三輪自動車「トゥクトゥク」に変更。日本ではあまり見られない車両の走り心地を体験しようと、それぞれの場所で行列ができていた。車両横の窓がないため、ダイレクトに冬の風が感じられる「トゥクトゥク」に、乗車した人々は笑顔を見せていた。 イベントの最後には近乗会も開催。この日、参加した車たちが華麗な走りや音をとどろかせながら谷保~国立駅の街中をさっそうと走ると、歩道で見守る家族連れや往年のファンから「すごいな~」「かっこいい!」など興奮する声が聞かれた。 午後は風が強まり、境内に展示された名車に葉が落ちる様子が、幻想的な雰囲気を醸し出していた今年の「谷保天満宮旧車祭」。すべての車が街に繰り出した後の境内には、旧車独特のガソリンのにおいが立ち込め、祭りの余韻を残していた。
ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム