音楽家夫妻、パリとの二拠点生活は田舎の家で。築340年超の古民家に惚れ込みセルフリノベ、古家具が似合いすぎる空間に パリの暮らしとインテリア[19]
「20代の夫婦であれば、古い家を買って自分たちでつくり直しながら暮らす、というスタイルもあるでしょうが、私たちはそういう年齢ではありません。広い家を探していたとはいえ、こんなに家に手をかけることになるとは、実は予想していませんでした。第一、私たちにはDIYや庭仕事の経験が全くありませんでした。でもフランス人にとっては、家も庭も自分で手入れをするもの、という常識があるようですね。 フレデリックはなんの疑問も抱かずに、コツコツと色々な作業をしてくれます。私も、家具の配置はもちろんのこと、一旦植えた植物でも配置がしっくりこないと感じたら、別の場所に植え替えたりするのですよ。
こうあるべき、という決まりを持たずに、ドビュッシー的に住まいづくりをしている感覚、とでも言うのでしょうか。ベートーベンというよりはドビュッシー。世の中も変わるし、人生も変わってゆくものですよね。今の自分の感覚を信じて、良きと思う方向へ行くように。そんな感覚です」
「自分の前世は木だった」と言い切るフレデリックさん。
beforeの庭。短く刈り込んだ芝生が広がっていた。
今の自分の感覚を信じて、良きと思う方向へ
田舎に、大きな家を購入した場合、買って住んでみて初めてわかることはたくさんあるはずです。いやきっと、初めてわかることばかりでしょう。まどかさんとフレデリックさんは、パリと田舎を行き来する生活を1年間体験し、二拠点生活がどれだけ経済的・体力的負担になるのかを知った、と打ち明けてくれました。そこで数年前からは、この田舎の家をちょっとしたイベントなどに貸し始め、そこで得た収入を維持費に充てるようにしているそうです。「こうあるべき」と決めないからこそ柔軟に、この大きな一軒家と付き合うことができるのかもしれません。
「私たちもいつまで体力があるかわかりませんから、ゆくゆくはこの家を売って、もっとこぢんまりした家に移ることになるでしょう。その時も同じように、自分の感覚を信じて、良きと思う方向へ、と思っています」
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