音楽家夫妻、パリとの二拠点生活は田舎の家で。築340年超の古民家に惚れ込みセルフリノベ、古家具が似合いすぎる空間に パリの暮らしとインテリア[19]
壁に飾られた楽譜。
お互いを尊敬し合い、尊重し合う音楽家カップルであっても、「この家を購入して、一緒に家づくりをするようになってから、喧嘩(?)が増えたのですよ」とまどかさん。妥協のない家づくりは、お互いの意思をとことん伝え合う根気のいる作業なのだそう。
サロンに続きもう1箇所、大リノベーションをしたのがキッチンです。購入時、状態こそ悪くはなかったものの、作業台は使いにくいタイル張りで、壁は一面暗い木目の戸棚……田舎風といえばそうですが、全体的に時代遅れで暗い雰囲気が漂っていました。そこで、まどかさんとフレデリックさんは全て自分たちで壁にあった戸棚を撤去。代わりに、飾りと収納を兼ねるボードを設置しました。床に据え付けられた戸棚(作業台やシンクの下の部分)の方は、明るいブルーグレーに塗り替えです。色を変えただけで、こんなに印象が変わるとは!
そして、問題の作業台のタイルは、一度は白いペンキで塗り替えたものの、メジの凹凸がどうしても気になり、上から内装用のコンクリートで加工しました。これはフレデリックさんが専用のキットを購入し、独学で調べながら丁寧に仕上げた力作です。その甲斐あって、見違えるほどスタイリッシュなキッチンに変身です!
極め付けは、アイランドキッチンとして使用している大きな家具。 「この家を買う1年前から気に入って購入し、いつか田舎の家を買った時にはキッチンの中心に置きたいとそれまでパリのアパルトマンに置いていたものなのですよ。ようやく理想的な居場所に置いてあげられた気がします」 ここまでキッチンに力を入れたのは(そして時間とお金もかけたのは)、もちろん理由があります。フランスでは、キッチンは家の心臓部と言われ、人が集まる最も重要なスペースだから。やはり「人が集まる」が、まどかさんとフレデリックさんにとって、一番のキーワードなのでした。
「こうあるべき」と思わず、ドビュッシー的に、流れる感性に従って
家の中はもちろん、家の外壁、そして庭も、まどかさんとフレデリックさんはコツコツ、そして時には大胆に、手を入れています。木目だった鎧戸は明るいブルーに塗り替え、家全体の印象を軽く、明るく。庭には桜の木を植えて、その木陰にテーブルを置いています。4年前、この家を購入すると真っ先に植えたこの桜は、今では大きく成長し、「桜の木下で食事をする」というまどかさん夫妻の夢を叶えています。
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