近鉄の観光列車「つどい」リニューアル ── ハンモックにボールプールも
近鉄が三重県の伊勢市駅から賢島駅まで土日を中心に運行している観光列車「つどい」がこのほど、初めてのリニューアルを実施し運行を始めた。座席は全て窓向きで、運転操作に合わせて点灯する表示灯やメーターなどを導入した「子ども運転台」も設置されるなど、これまで以上に楽しめそうだ。
若い家族連れ世代に特化しリニューアル
伊勢志摩地域の周遊を目的とした観光列車「つどい」は、2013年10月に運行をスタート。当初は幅広い世代の家族をターゲットとし、子どもの遊び場はもちろん、大人も楽しめるよう伊勢志摩地域の特産品などを車内で販売していたが、このたび若い家族連れ世代に特化し、リニューアルを図った。 イベントスペースには「海のあそびば(ボールプール)」や「ゆらゆらハンモック」、「駄菓子屋コーナー」を新設。バーカウンターでは軽食のほか、地元産のスイーツを用意するなど、子ども向けメニューを追加した。風が吹き抜ける構造の「風のあそびば」には、海の生きものを中心としたぬいぐるみを設置し、はしゃぎ回れるよう土足禁止に。また、志摩スペイン村の巨大サイズのキャラクター(ぬいぐるみ)と撮影ができる「フォトスポット」を新設するなど、より子どもが喜ぶスペースに生まれ変わった。 近畿日本鉄道 名古屋事務所の伊藤さんによると、「子どもの遊び場を中心とした観光列車は全国でも珍しいと思います。鳥羽・志摩地域には、鳥羽水族館や志摩スペイン村など子ども連れに人気のスポットが点在しており、1日に2往復する『つどい』は、ぜひご家族でご利用いただきたいです。また、ダイヤは宿泊でお越しのお客様が利用しやすい時間帯に設定されているので、ぜひゆっくりと泊まりがけで遊びに来ていただきのもいいですね」と話す。
移動時の安全性考え丸み帯びたデザイン
イベントスペースや「風のあそびば」は座席のある車両と交互に配置されているため、移動時の安全性を考えて全体が丸みを帯びたデザインとなっている。遊びに疲れたら、大きな窓に向けて配置されている座席で、伊勢志摩の自然を眺めながら休憩を取るのもいいだろう。 リニューアル後の初運行に乗車した、奈良県から訪れた利用客に話を聞くと、「観光特急『しまかぜ』に乗ることが目的で、こどもの誕生日に合わせて遊びに来ました。きっぷを買うときに偶然『つどい』を知りましたが、乗車前から子どもたちの期待度が高く、夢のような車両だと思います」と話す。車両に乗り込むと、さっそく新設されたばかりの「海のあそびば(ボールプール)」へダイブ。笑顔が絶えない子どもたちの様子に、大人たちも満足そうだ。また、リニューアルに合わせて乗車した地元のリピーター家族が、リニューアル前との違いを比べながら家族全員で遊ぶ光景も見られた。 観光列車「つどい」の運行は、伊勢市駅~賢島駅を1日2往復、停車駅は伊勢市、宇治山田、五十鈴川、鳥羽駅、鵜方、賢島。普通運賃のほかに観光列車料金として大人300円、小児150円が別途必要。きっぷは近鉄特急券発売窓口のほか、神戸三宮駅、伊賀鉄道上野市駅などで乗車日の1か月前から発売する。販売座席は80席(指定は不可)。