【夏の甲子園ピカイチ選手・大会5日目】鳴門渦潮、今やすっかり少数派の「エースで4番」が早実に一矢報いる
第106回全国高校野球選手権5日目、気になっていた選手の甲子園マウンドに注目していた。第1試合に登場した鳴門渦潮(徳島)のエースで4番、岡田 力樹投手(3年)。今や高校野球でも「マイナー」になった「エースで4番」が、孤軍奮闘し、敗れた。 【トーナメント表】夏の甲子園 大会5日目までの結果一覧 強力・早稲田実業(西東京)打線に立ち向かった。伸びのある直球に、切れ味鋭いスライダーが武器。右打者の外角に決まるスライダーは、なかなか打てないと思われる。分かっていても手が出てしまう。そんな部類だろう。徳島大会決勝でプロ注目右腕、阿南光の吉岡 暖投手(3年)に投げ勝った右腕が、甲子園でどんな好投を見せるのだろうかと、注目していたが、伝統校の足を使った攻撃に屈した。 13安打を許し8失点(自責6)。それでも最後まで投げきった。甲子園のマウンドで投じた球数は185球。今の時代、とんでもない球数だが、「エースで4番」だから、本人としては普通だという感覚なのかもしれない。 打つ方では一矢報いた。初回の先制打を含む2安打。4番打者として勝負強さは甲子園で発揮した。 この日、第2試合では、鶴岡東(山形)の「エースで4番」、桜井 椿稀投手(3年)が聖光学院(福島)相手に1失点完投。打っても2安打2打点と、チームの全打点をマークし、大黒柱としての仕事を見事に果たした。結果は違ったが、岡田も背負うものは同じだ。 試合後、甲子園のマウンドをこう振り返った。「1週間の中でも球数は投げて準備はします。多い日は1日に100球以上投げることもあります。練習をして、土日の練習試合で投げて、というのをやってきて、肩のスタミナをつけてきました。完投能力には自信があります」。今後については「大学では投手、野手どちらでやるかは分かりませんが、活躍したいです」と意気込みを口にした。 個人的にはパンチ力を感じる打者として成長してくれることを願う。もう「エースで4番」として活躍することはないだろうが、この夏、重圧と戦った経験を精神的な成長のきっかけとしてほしい。また、どこかで輝いている姿が見られると思っている。