『OITA CULTURAL EXPO!’24』大分・別府・佐伯・臼杵・竹田・国東半島で体験する新しいアートのかたち。
●おしゃべりする巨大こけしが出迎える大分市
大分市は、木崎公隆と山脇弘道によるアートユニットYotta(ヨタ)が作品を見せる。大分駅前にて巨大なこけしのバルーン彫刻《花子》がお出迎えし、市内のアーケード型商店街では、電飾された車で焼き芋販売を行う《金時》、ポン菓子製造機を車に搭載した《穀(たなつ)》を展示。パフォーマンス的に焼き芋やポン菓子の販売も行う。 ちなみに通常《金時》では鳴門金時を使用した焼き芋を提供しているが、「今回は大分産の高糖度さつまいも・甘太くんでアレンジ。《穀》のポン菓子用の米も大分産のものを選びなおしました」とYottaのふたりは説明する。
「大分は工芸も盛ん。そういう意味でも《花子》はマッチしているのかもしれません。加えて、大空の下でカラオケができる《青空カラオケ》などこれまで発表してきた作品も徐々に設置していきます。ある意味、Yottaの回顧展」(Yotta・木崎) さらに大分市内にアトリエを設け、Yottaがそこに常駐する。このアトリエでは、《花子》や《金時》などに続く新作を構想していくという。会期最終日となる6月30日には、その構想のお披露目会を予定している。 「現地制作では、来てくれた方や地元の方にその過程を見てもらい、コミュニケーションを取りながらつくっていくことを大切にしたい。僕たちの作品は展示に合わせてつくり変えたりしていて、完成形がないタイプ。だからこそ、ここ大分で作品をつくりはじめることに意義があると思っています」(Yotta・山脇)
【大分市】Yotta「時化の雲からコンニチハ」
(土・日曜、祝日は10:30~18:30)。火・水曜休(屋外作品は鑑賞可)。
●別府で自然のエネルギーを元気に変える
国内屈指の温泉地・別府市を舞台にする作家は、現代美術の祭典のひとつ「ドクメンタ」を含む国内外で作品を発表してきた栗林隆。彼の代表作のひとつ《元気炉》は、原子炉を模した体験型のアート。薪をくべて薬草茶を沸かし、香りも豊かなその蒸気で室内を充満させ、人々を元気にしていこうという作品だ。今回、別府では、この《元気炉》が市内各地を旅する『元気炉トリップ』を展開する。 別府では至る所から温泉の湯気が地面から舞い上がる。その蒸気を使って魚を蒸し焼きにする「地獄蒸し」なる調理法も土地の名物だ。同じく蒸気に身を包む体験。似ているところもありますね? と問うと「確かに似ていますが、偶然です(笑)」と栗林。 「この《元気炉》は、これまでいろいろな土地で、そこで採れる薬草を使って展開してきました。“地物”を使うことがこの作品で僕が大切にしていることのひとつ。今回も別府で採れた薬草を使っています。土や水と同じように、その土地で採れたものが、その場所に合うんです」(栗林)