ワーストスコア「75」はシード選手中1位! 平均飛距離134位の古江彩佳が“最も飛ばない”ベアトロフィー受賞者になれたワケ
ワーストスコア「75」はシード選手で1位
だがしかし、古江には“簡単にスコアを崩さない”という強みがある。ボギーかそれより悪いスコアを叩く確率はツアーで最も少ない11.17%だった。パーオンできなかったホールでパーセーブ(バーディーを含む)する確率を示すスクランブリングでも66.43%で1位。ピンチを切り抜ける力が米女子ツアーで最も高い選手だといえる。 シーズンのワーストスコアにも“簡単にスコアを崩さない”ことが表れている。古江の今季ワーストスコアは75だった。これは、シード入りした80人の中で最もいいワーストスコアで、75だったのは古江だけ。76でも2人しかおらず、80人中半数以上の42人が80以上だった。この中にはコルダやパリ五輪金メダルのコも含まれている。 平均ストロークは大叩きすれば一気に悪くなる。今季の古江はどんなに難しいコースでも、難しいコンディションでも、飛距離の不利を克服し、粘って、耐えてスコアをつくってきた。その積み重ねが日本人初の栄冠につながったわけだ。 今季は24試合に出場して予選落ちはダブルスの「ダウ選手権」だけ。個人戦では予選落ちは1試合もなかった。これはシード選手の中で古江だけだ。 ライバルのユをギリギリで交わしてゴールに駆け込んだ最終戦の最終ラウンドは5バーディー、1ボギーの68という好スコアだった。ただし、ショットが好調だったわけではない。7ホールでグリーンを外しながらすべてしのいで(唯一のボギーは3パット)つくったスコア。タイトルがかかる重圧の中、古江らしさが詰まったプレーだった。
宮井善一