実は“大事件” スズキ・スペーシアに「ステレオカメラ」搭載
5月19日、スズキは軽乗用車のスペーシアとスペーシアカスタムに「ステレオカメラ方式」の衝突被害軽減システムを搭載したと発表した。 【画像】<ぶつからない自動車>障害物を検知するブレーキシステム 一見地味なニュースだが、実はこのニュース、日本の自動車全てに大きなインパクトを与える可能性を秘めた重大な発表だ。結論から言えば、これは路上を走る全てのクルマの自動運転化へにつながる一歩目のステップなのだ。
全てのクルマの自動運転化につながる?
さて、情報の整理から始めよう。まず衝突軽減ブレーキそのものはもう珍しくもなんともないし、すでに軽自動車への搭載例もいくらでもある。ポイントはステレオカメラというセンサー方式にある。 現在、ぶつからないブレーキの障害物検知方式、つまりセンサーの方式には、赤外線レーザー方式、カメラ方式(ステレオ/モノラル)、ミリ波レーダー方式の3つがある。 ボルボのシステムではこれら全てを搭載して、長所短所を補完し合いながらより高度なセンシングを行っていると説明してきた。何をどのセンサーで捉えているのかという質問に対しては「一般論ですが、レーダーで障害物の位置を、カメラでその種別を」と説明していた。赤外線レーザーの役割はどうも判然としなかったのである。 ただし、現実の作動中の状況は「今、どのセンサーが何を判定しているかはモニタリングの機器でも取り付けない限りわかりません」ということだった。実際2系統のセンサーで障害物を補足している場合もあるだろうからそれをCPUがどう処理しているかという話になるのだろう。 マツダの「i-ACTIVSENSE」はボルボと同様3種のセンサーを組み合わせているが、マツダのHPには赤外線レーザーセンサーの役割をはっきりと「低速走行時の衝突軽減と誤発進の防止」だと書いてある。 こうした流れをみてみると、ボルボとマツダのケースは、初期に赤外線レーザー方式で低速自動ブレーキのシステム構築をし、のちにカメラやミリ波レーダーを追加して高速側の機能を増強していった経緯が見えてくる。 実際コスト優先モデルでは今でも赤外線レーザーセンサーのみが装着されているケースは多い。つまり、上位機種のシステムはそれにカメラやミリ波レーダーがアドオンされる形で成立しているために、やろうと思えばミリ波レーダーがカバーできることを赤外線でやっている可能性があるのだ。