若者好みのカスタムパーツを装備し、ビッグスクーターブームを牽引したフュージョンType X
20年間変わらなかった基本設計
フュージョンのパワーユニットはスペイシー250フリーウェイと同じ水冷4ストロークSOHC単気筒244ccで、スペックも同じ最高出力20PS/7500rpm、最大トルク2.2kgm/5500rpm。車両重量は168kgとスペイシーよりも30kg以上重くなっていたが、街中をキビキビ走り回るというよりもゆったりとした走りを楽しむというフュージョンの性格を考えれば特にネガティブな要素とはならなかった。2003年から再生産されたモデルでは、排出ガス規制に対応するために二時空気導入装置などが追加され、最高出力19PS/7500rpm、最大トルク2.1kgm/5000rpmへと ホイール径はフロント12インチ、リア10インチという設定で、前後10インチのスペイシー250フリーウェイよりもアメリカンバイクを思い起こさせる穏やかなハンドリングであった。ブレーキはフロントが油圧ディスク、リアがドラムで、リアブレーキのコントロールにはフットブレーキタイプが採用されている。また、サスペンションはフロントにトルク応答型アンチノーズダイブ機構TLAD(トラッド)を採用したボトムリンク式のフロントフォークを装備するなど、当時としては先進的であったと言えるだろう。 フュージョンは実用一点張りであったスクーターの概念を打ち壊した、「カッコいい」250cccスクーターの元祖であったと言えるだろう。そして、ビッグスクーターブームを牽引した一台であり、国内では紆余曲折はあったものの、最終的にはヒットモデルとして2007年まで生産が継続された。
フュージョン Type-X主要諸元(2003)
・全長×全幅×全高:2265×745×1115mm ・ホイールベース:1625mm ・シート高:665mm ・車両重量:170kg ・エジンン:水冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒244cc ・最高出力:19PS/7500rpm ・最大トルク:2.1kgm/5000rpm ・燃料タンク容量:12L ・変速機:Vベルト式・無断変速 ・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム ・タイヤ:F=110/100-12、R=120/90-10 ・価格:51万9000円(当時価格)
後藤秀之