「私が教えるのは”起業道”です」…米国教授が本当に伝えたい「真のアントレプレナーシップ」とは
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第64回 『繰り返される「不正事件の歴史」…経営者たちが“悪魔の囁き”から逃れるための「唯一の」方法』より続く
リーダーの倫理観の重要性
なぜ、この章で「倫理」を取り上げたのか。それはリーダーの倫理観が会社にとって極めて重要だからです。いかにリーダーが優れた倫理観をもち経営にあたっていても、組織の中で倫理観が失われることはありえます。しかし、そもそもリーダーに倫理観がない組織では、100%、組織の倫理観は喪失されます。 ・とにかく結果にこだわれ。手段は問うな。 ・法に触れなければ何をしてもいい。 ・バレなければ、不正をはたらいてもどうということはない。 ・正直者は馬鹿を見る。 極論すれば、リーダーが部下に対してこれに近い言葉をボヤいていれば、組織の倫理観は失われていきます。よく、企業で組織の末端の不祥事が発覚した場合、トップの責任が追及されるケースがあります。処分をすれば良いという問題ではない、ということは何度も述べました。 でも、これが理に叶っていることも多いのです。詳細について知らなかったとしても、「不祥事を起こす土壌」=「倫理観が欠如した環境」をつくってしまった背景に要因が潜んでいます。実は、一部の社員に責任を負わせ、事実上の「トカゲの尻尾切り」で済ませた企業では、高い確率で不祥事が再発します。