〈食べログ3.5以下のうまい店〉名物は「羽釜ご飯」。麻布台で17年間愛され続ける、看板のない日本料理店の秘訣
空間、料理に加え、店主の人柄がまた訪れたいと思わせる
日本酒やワインも下枝氏自らがセレクトしているので、料理との相性の良さは言うまでもない。「お酒も存分に楽しんでほしい」という思いから、良心的な価格設定で、お酒に詳しい常連客からは驚かれることもしばしば。日本酒は1合1,210円~、ワインはグラス2,200円~、ボトル10,780円~。
紹介制、しかも看板のない隠れ家と聞くと少々構えてしまうが、一度訪れれば、その居心地の良さにまた来たいと思うに違いない。料理はすべて店主の下枝氏がひとりで担当しているが、ゲストへのトークもさすがで、寛いで食事ができるムードをつくり出してくれる。「卵かけご飯の卵選びのため自ら243種類食べ比べた」など食材の話は興味深いものばかり。
ちなみに、聞きなれない店名の「朔旦冬至」とは、陰暦11月1日が冬至にあたる日のこと。19年と7カ月に一度だけ巡ってくることから瑞祥吉日とされ、古来より盛大に祝われたおめでたい日と伝えられている。そんな店名に相応しいご馳走感ある料理を味わうことができるが、いずれも身体思いで毎日でも食べたくなるものばかり。一度電話で相談すれば予約が可能になるので、ぜひ訪れてみてほしい。
外川さん「下枝さんと初めてお会いしたのは20年ほど前。以来、「これまで食べたことのない感動する味」をたくさん教えてもらいました。訪れるたびに、お腹と心が満たされることはもちろん、フードジャーナリストとしての経験値も高めてもらっています。」
朔旦冬至
住所: 東京都港区麻布台3-1-4 第二妹尾ビル B1F TEL: 03-6273-7718 ※価格はすべて税込
取材・文:外川ゆい 撮影:松川真介