現役引退を撤回か パリ五輪で100グラムの超過で“衝撃失格”のインドのレスリング選手が沈黙を破る「時間は不公平だった」
無事に閉幕したパリ五輪でも多くの人々に記憶されるドラマだった。女子レスリングのフリースタイル50キロ級において、わずか100グラムの体重超過で失格処分を受けたビネシュ・フォガト(インド)の騒動である。 【画像】ドラマ相次ぐパリ五輪の「悲喜こもごも」を厳選フォトでチェック! 1回戦で、いきなり東京五輪で同階級の金メダリストとなっていた日本の須崎優衣を破り大金星をあげたビネシュは、その後も快進撃を続け、決勝にまで進出。サラ・ヒルデブラント(米国)との決戦に期待が集まっていた。 しかし、現地時間8月7日に行われた決勝当日の早朝に実施された公式計量で、100グラムの超過が判明。前日に2キロのオーバーが分かってから散髪や採血も実行する壮絶な減量に励んだが、無念の失格となったのだ。 大会直後に自身のXで「私の勇気もすっかり折れてしまいました。もうこれ以上の力はありません」と現役引退を公表していたビネシュ。以降、彼女は失格処分に対する国際的な論争が広まる中でも静観を貫いてきた。 喧騒が収まり始めた現地時間8月16日にビネシュは自身のInstagramを更新。2日前に失格処分と銀メダル付与の決定に対するスポーツ仲裁裁判所(CAS)への異議申し立てが却下された事実をふまえ、「私の中にある闘志は、いつだってそこにある」と現役続行を示唆。そして、改めて今回の騒動に対する自らの考えを綴った。 「私が言いたいことは、私たちは諦めず、努力を続け、降参もしなかったということ。でも、時間は不公平だった。私の運命はそうなってしまった。私のチーム、そしてインドの仲間や家族にとって、目指していた目標や計画は未完成のようで、何かが常に欠けたまま。もしかしたら二度と元に戻らないかもしれない。でも、状況が変われば、2032年までプレーするかもしれない」 さらにビネシュは「とにかく私は国全体に感謝したい。私は本当に幸運だと思う。私の闘いを支えてくれてありがとう。まだ終わっていない、闘いは続く」とも力強く言ってのけている。 ショックも少しずつ癒え、沈黙を破った29歳。決意を新たにする彼女は、4年後のロサンゼルス五輪で失ったものを取り戻しに行く。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]