「ひとり言」は脳の衰えを防ぐ簡単にできる対策だ 長期記憶と「言葉に出す」ことの深い関係とは
言葉には、不思議な力があります。「自分は○○だ」、「自分〇〇できる」といった自己規定の言葉を発したとたんに、不思議に自分自身がその方向に向かっていくようになります。 なんだか地味で、暗い感じがするかもしれない「ひとり言」ですが、実はさまざまな効用があり、奥が深いものだといえます。 では、何をどのようにつぶやくと、効果が出るのか? 脳内科医の加藤俊徳氏の新刊『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』をもとに、脳と言葉のメカニズムを脳科学的な視点から解き明かし、上手にひとり言と向き合うことで、自分の能力を高める方法を3回に渡り解説します。 【図解】地頭のいい人の特徴とは?
■直感的に出たひとり言を大事にする 右脳の直感的なひとり言を、頭ごなしに「否定」することは禁物ですが、「検証」することはひとり言の事実化には必要不可欠です。 手前みそになりますが、私がfNIRSという新しい脳機能の計測法を発見、開発したとき、「これは従来の技術であるfMRIを超える」と直感しました。 ただし、それと同時に、「本当にそうか?」という問題提起と、それを検証するひとり言をつぶやいていたことも確かでした。
問題提起や検証することは、左脳的な作業になります。具体的に実験を繰り返しながら、fNIRSの有用性を検証していきました。 私はfMRIを学ぶためにアメリカのミネソタ大学に渡り、その道のパイオニアである恩師らに学んだわけですが、学ぶ機会を与えてもらった恩に報いるためにも、発見したfNIRSの完成度を上げなくてはならないと考え、試行錯誤していました。 そんなとき、「押してダメなら、引いてみな」という言葉が脳裡に浮かび、自分のfNIRSの技術そのものを疑って、検証し始めました。
■ひとり言ノートをつけてみる 話は逸れますが、私はいつしか「ひとり言ノート」を作り、そのときにひらめいた言葉などを書きつけるようになりました。あえてひとり言を生み出すために、ノートを持参してカフェに行くこともありました。 ミネソタ大学と自宅の途中にあるダン・ブロス・コーヒーに行くと、ひとり言が出やすいので頻繁に通いました。以来、旅をしたり、街を歩くときは、ひとり言が出やすい“ひらめきカフェ”を探す癖がつきました。