働きながら「年180日ホテル暮らし」彼が辿り着いた“心地のいい生活”。ウェブエンジニアの仕事と趣味の両立
「近場のアジアでの貧乏旅行しか経験がなかったので、海外旅行はこんなに楽しいのかとイメージが変わりましたね。家賃がもったいなかったので、一時帰国したときに住民票を抜いて、100カ国を目指して世界中を旅して回りました」 途中からは、知り合いに頼んでウェブサイト制作の仕事を振ってもらい、旅をしながら細々とウェブエンジニアの仕事もするようになっていった。 ■国内旅行でホテルの会員ステータスを意識 訪問国が108カ国に達した2020年、世界を新型コロナウイルスが襲った。
リモートワークが浸透し、“ホテル暮らし”や“ワーケーション”という言葉がメディアに登場。「自分は2年前からやっているんだから、このまま続けてみようかな」と考え、今度は国内を旅するようになる。 国内では、海外旅行であまり縁のなかった「いいホテル」に泊まることが増えた。すると、ホテルチェーンごとに特徴があるとわかり、知らないホテルには行ってみたいと思うように。上級会員になれば部屋のアップグレードなどの特典があるとわかり、ジョーさんは会員ステータスを上げることも考えながらホテルを巡るようになっていく。
「ステータスのためだけなら、同じホテルに泊まり続けてもいいんです。それでも移動して全国のホテルを巡るのは、未知の場所を自分の目で見て確かめたいから。同じ系列のホテルでも地域ごとの特色があったり、周辺の環境で雰囲気が変わったりする。その違いが楽しいんですよ」 クラシックで豪華絢爛なホテルより、モダンなデザインのホテルが好みだというジョーさん。仕事ができるような落ち着いた雰囲気のラウンジやロビーがあり、部屋にはデスク&チェア、疲れを癒やす温泉やサウナもあればなおうれしい、という。
美しいデザイン空間を記録に残すため、チェックインしたら部屋がきれいなうちに写真を撮る。ラウンジのような共用部分は、チェックイン直後の人の少ない時間帯や夜中に撮影。ジョーさんの写真は、水平・垂直の取れた建築雑誌のようなスタイリッシュさが印象的だが、撮影機材はiPhoneのみだという。 「旅を続けるうえで、大きなカメラは荷物になります。過去に動画撮影をしたこともあるのですが、義務感が出るとホテルを楽しめなくなるので、いまはiPhoneで写真だけを撮っています」