「指ポキポキ」鳴らすと変形する?実は問題ない? 専門家が指摘するキーワードは「気泡」だった
作業が煮詰まってきた時、指をポキポキと鳴らすことはないでしょうか。中には首をポキポキする人もいるかと思います。筆者は「鳴らすと、指が太くなるよ」と言われ続け、太くならないように、左手の薬指だけは鳴らさないようにしてきました。インターネットの検索候補でも「指ポキポキ 太くなる」と出てくる現状がある中、本当に変形するのか、専門家に聞きました。 【写真を見る】指をポキポキ鳴らすと太くなる? 首には注意しなければいけないことも ■鳴らすことが多い指の付け根 気をつける必要がある関節 なぜ人は指を鳴らしてしまうのでしょうか。「ポキポキ」という音が小気味良く聞こえるから、手持ち無沙汰で無意識に鳴らしてしまうから──などそれぞれの理由があるはずです。 井尻整形外科(兵庫県神戸市)の院長で医師の井尻慎一郎さんに話を聞きました。 まず指鳴らしですが、井尻さんは「ポキポキ鳴らすのは、指の付け根の『第3関節』だと思いますが、ここの変形はほとんど起こりません。太くもなりません。私の診療経験からも、文献からも、変形が起こるのは、指の先端の『第1関節』と先端から2つ目の『第2関節』がほとんどです」と話します。 たしかに、鳴らすことが多いのは付け根の部分です。 「指を鳴らすことが変形に影響するなら、多くの人の第3関節に変形が生じるはずですが、そうはなっていません。指を鳴らすこと自体は悪くないと思います」と井尻さんは話します。 「私も鳴らす癖がありますが変形は起きず、1回も慣らしたことのない右の人差し指の第1関節に変形が少し生じています」とした上で、「強く鳴らしたり、頻繁に鳴らしたりし過ぎない限りは大丈夫。痛みがなければ、指のポキポキ音は気にせずOKです」と教えてくれました。 ■耳慣れない用語「トリボヌクリエーション」が起きるタイミング そもそも指は、どうして鳴るのでしょうか。実は、ポキポキ音の原因はまだ完全には分かっていません。 2015年にオンライン科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された論文によると、ポキポキ鳴る現象(専門用語で「トリボヌクリエーション」)は、関節を引っ張った時に、関節内の圧力が下がることで関節液の中に「気泡が生じる」から起きると証明しました。これは、機械工学などで問題になることが多い、液体中に泡が生じる現象「キャビテーション」と同じ原理だといいます。