市のまちづくり検討委に女性ゼロ 長崎市長「お願いしたが全て男性に」…専門家も絶句、残る課題
今回だけでなくほかでも…
市は「何とか女性の意見を取り入れたい」として、第2回会合からは女性団体に「関係人」として随時参加してもらう予定。子育て世代、高齢者、若者など複数の団体に声をかけているという。他にも「女性と若者」に特化して意見を聞くワークショップの開催も予定している。 他の付属機関で男女比はどうなのか。市によると、全123組織の委員総数1561人のうち、女性は23・3%の364人(4月1日現在)。全体の4分の1にも満たない。 123組織のうち、女性委員が1人もいない組織は市交通安全対策会議(全17人)や、長崎医療圏病院群輪番制審議会(全15人)など22組織。一方で、女性委員が半数以上を占めたのは、市男女共同参画審議会(全13人中女性7人)▽市食育推進会議(全19人中女性12人)▽市教育支援委員会(全14人中女性11人)-など9組織だった。
専門家も絶句
女性委員ゼロの経緯は分かったものの、男性だけが委員席に座る会議室の風景には、やはり違和感が拭えない。「まちづくりに女性は関われない」。意図せずとも、そんなゆがんだメッセージを市民に与える恐れすらあるのでは-。疑問と不安を抱え、長崎大ダイバーシティ推進センターの副センター長、矢内琴江准教授に見解を尋ねた。 「えええ…」。女性委員が1人もいないと知り、矢内准教授は絶句。「責任を持って多様性を保障したまちづくりを進めることに、どの組織も意識的ではなかったのだろう」とみる。
根強い「風潮」も
追加で女性に意見を聞く対応について「まちの方向性を決める場(検討委)に委員として入れることはせず、女性が副次的、オブザーバー的な存在とみなされている」と指摘。今回の件に限らず、女性が意思決定やマネジメントの過程に加わることが重要だとした。 女性に対して「どうすれば子育てしやすいか」「子を産みやすいか」などと既存の“役割”の範囲内で意見を求める風潮も根強く、「それでは多様な意見を引き出せない」と危惧する。今後のグランドデザイン策定では「誰もが安心して意見を出せる環境整備が大事」と強調。最終的には、検討委が多様な意見を反映したかどうか、市民がチェックする仕組みも必要だと提言した。