市のまちづくり検討委に女性ゼロ 長崎市長「お願いしたが全て男性に」…専門家も絶句、残る課題
長崎の県都・長崎市の将来像を官民で話し合う「長崎まちづくりのグランドデザイン検討委員会」には、委員13人の中に女性が1人もいない。検討委を設置した市も問題があると認め、別の形で女性の意見を聞くというが、それで解決するのだろうか。この「まち」に暮らす半分は女性なのに-。女性委員ゼロの「はて?」を掘り下げた。 検討委は急速な人口減少が進む中、30年後を見据えたまちづくりの方向性を議論する市の付属機関。今年設置された。「経済再生」と「定住人口増加」を目指し、交通網整備などの基盤(ハード面)と、それらを生かして新たな価値を生む仕組み(ソフト面)を検討。その方向性をグランドデザイン(全体構想)として来年度中に示す。
女性もいるはずなのに…
市が委嘱した男性委員13人を、専門分野や出身組織などの内訳で見ると、学識経験者(都市計画、デジタル技術活用、不動産活用など)6人▽関係行政機関(国、県)2人▽商工団体2人▽地域活動団体1人▽公募市民2人-となっている。それぞれの専門や組織には当然女性もいるはずだが、なぜ全て男性が代表する形になったのか。 検討委事務局の市都市計画課によると、学識経験者は「市が求める専門知識について経験や実績を個別に考慮し、結果的に男性になった」。国と県からの委員は、特定の職にある人に就いてもらう「充て職」で、いずれも男性。商工・地域の各団体には、女性を含めて委員の推薦を依頼したが、市は「推薦してもらった人が全て男性だった」と説明する。公募委員は、提出された小論文を氏名や性別などを伏せた上で審査し、男性2人を選んだという。
「散々努力してもらったが…」
鈴木史朗市長にも9月の定例会見で尋ねた。今回の経緯について「団体などには『できれば女性を』とお願いしたが、どこも適切な人が候補にいないということで、結局全員が男性になった」と説明。「私も『何とか女性が入らないか』と言って、担当部局に散々努力してもらったが、結果として女性が入っていない状況だ」と明かした。 委員の推薦を市に頼まれた団体にも聞いてみた。ある商工団体では、普段から「都市整備」や「まちづくり」を担当している男性役員に就任を打診し、了承を得たという。男性会員を推した地域活動団体は「男女というよりも、子どもの頃から長崎くんちなどに参加し、現在もまちづくり活動に熱心なので適任と考えた」と説明する。