浅はかでした…〈月収37万円・65歳の現役サラリーマン〉、64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給も「受け取らなきゃよかった」、安易な判断が「大後悔」を招いたワケ
複雑怪奇な年金制度。理解するのは容易ではありませんが、だからといってわからないままだと、いつの間にか損をしていることも珍しくはないようです。 ▼【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
昭和34年生まれのサラリーマン、64歳から年金の受取り開始
――年金の受け取りは65歳からだと思っていたので、得した気分でした 当時を振り返る清水徹さん(仮名・66歳)。60歳の定年以降も再雇用で働いているなか、64歳に達する3ヵ月ほど前に日本年金機構から緑色の封筒が届きました。入っていたのは年金請求書。清水さんは案内に従って手続きをしたといいます。 特別支給の老齢厚生年金は、昭和60年の法律改正で老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことを受けて、受給開始年齢を段階的にスムーズに引き上げるために設けられたもの。男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれていることがひとつの条件です。 昭和34年4月以降生まれの清水さんは64歳から1年間、特別支給の老齢厚生年金を受け取りました。受給額は老齢厚生年金の報酬比例部分で、清水さんは月12万円ほどを受け取っていました。 ――給与が月32万円ほどで合わせると月44万円。定年前とまではいかないけれど、ずいぶんと生活に余裕が生まれました 厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマン(平均年齢42.6歳)の平均給与は月収で40.8万円、賞与も含めた年収は673.6万円。60歳前の月収は53.2万円で、年収は879.1万円です。60歳以降、再雇用で非正規社員になったとしたら、月収は31.9万円ほどにダウンします。 定年を境に月20万円も収入が減るわけですから、給与減に備えていないと破産確定。そんな状況のなか年金がプラスされ、減少分をいくらかカバーできたわけですから、清水さんの「余裕が生まれて感謝」という言葉も納得です。 【大卒サラリーマンの平均給与の推移】 20~24歳:24.3万円/356.2万円 25~29歳:28.3万円/474.0万円 30~34歳:32.6万円/549.4万円 35~39歳:37.9万円/645.5万円 40~44歳:42.4万円/704.2万円 45~49歳:46.7万円/774.5万円 50~54歳:50.6万円/839.7万円 55~59歳:53.2万円/879.1万円 60~64歳:32.0万円/498.6万円 ※数値左より月収/年収。59歳までは大卒・男性・正社員、60歳以降は大卒・男性・非正規社員の平均値
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