【ランキング】大学生はChatGPTをどれぐらい利用しているの? 何に使っているの?
性別、文系、理系、医歯薬系でも差がある
次に、男女別や文系・理系別の比較をしてみましょう。 無回答を除く7項目のうち6項目で男性の数値が高く、「論文・レポートの作成の参考に」は男性27.9%、女性17.3%と10.6ポイントの開きが、「コンピューターのプログラミング、エクセルの関数作成」では男性12.4%、女性3.4%と9.0ポイントの開きがあります。大築部長は「ChatGPTなどの文章生成系AIの利用には男女差があるというより、男子学生の方がやや積極的に利用しているという程度にとらえるべきでしょう」と言います。 文系、理系で比較すると、無回答を除く7項目のうち6項目で理系の方が上回っています。理系の学びと関係が深い「コンピューターのプログラミング、エクセルの関数作成」に大きな差(文系3.7%、理系15.1%)があるほか、他項目でも少しずつ理系が上回っており、理系学生の方がより積極的に文章生成系AIを利用していることがうかがえます。 医歯薬系の学生の利用率は、文系、理系の学生に比べて低いこともわかりました。学ぶ内容や課題の違いなどが影響しているのかもしれません。大築部長は「生命や健康に直結する知識や情報を扱うという医歯薬系の学びの特徴が、文章生成系AIの利用をより慎重にさせているととらえることができるのかもしれません」と話します。 生成系AIの利用拡大は、大学の入学試験にも影響を及ぼしています。日本大学、文化学園大学、松山大学などは、入学者選抜における生成系AIに関する方針を公表し、「生成系AIによって生成された事前課題、志望理由書、研究計画書、創作物などは受験生の成果物として一切認めない」などとしています。
大学が独自のガイドラインを発表
教育現場での生成系AIの利用は、生成データの信頼性や、著作権問題、誤って盗用してしまうリスクなど、課題や懸念も少なくありません。このため、文部科学省は生成系AIの取り扱いについて大学側に主体的な対応を促しており、各大学が独自のガイドラインを作成しています。その多くは生成系AIの利用を明確に禁止するのではなく、不正行為に当たる事例を挙げて、注意喚起するものとなっています。東京大学、東京外国語大学、慶應義塾大学などでは、生成系AIの使用を全面的に禁止するのではなく、担当教員の判断に委ねるとしています。 一方で、積極的に生成系AIを授業や課外活動に取り入れ、教育の多様化や効率化を図る動きも生まれています。立命館大学では、ChatGPTと機械翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable(トランサブル)」を導入し、英語学習の効率化や理解度の向上を図っています。東京工業大学(現・東京科学大学)は、24年9月に日本電気(NEC)と連携して、「生成AIアプリコンテスト」を開催しました。筑波大学や芝浦工業大学も、生成系AIを積極的に有効活用していく方針を示しています。 「生成系AIの技術進化は、今後ますます加速すると予想されます。生成系AIによって大学の教育、研究も大きく変わると思いますが、そのなかで学生の皆さんがどのような力を求められるのか、学び方がどう変わるのか、継続的な調査を通じて注目していきたいと思います」(大築部長) 24年秋の学生生活実態調査では、記述式の設問を加え、より細かく生成系AIの利用状況を調べる予定です。
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