【闘病】タバコは吸わないのになぜ「肺がん」に? 症状も全くなかった…
不安を誤魔化すために何でも試そうとしていた
編集部: 病気が判明してからの生活はどのように変わりましたか? H・Sさん: とにかくタンパク質を食べること、それと糖質を控えることに躍起になっていました。当時は丁度、糖質制限というのが流行り出した頃で、プロテインも試していました。今思えば、不安が強くて「何かしなきゃ」という気持ちで判断力も情報の取捨選択もおかしくなっていたのだと思います。 編集部: 体調や日常生活、仕事面ではどのような変化がありましたか? H・Sさん: 術後の後遺症で炎症があり、片方の肺が肥厚(ひこう)して癒着しているので、肺の機能がほとんどありません。そのせいで息苦しさを感じることも多く、階段を登ると動悸と息苦しさで歩くのが辛いので、エレベーターやエスカレーターを使っています。それでも、調子の良い時は少しずつ慣らすために、階段を使ったり、週に1回ジムに行ったりすることで、体重を戻して筋力を落とさないようにしています。息苦しいと感じるときは、富士山の8合目に住んでいると思うようにしています。仕事面でいうと、普段は塾の講師をしていて、業務内容を1日1人の個別授業に変更してもらい、業務時間も自由が利くように提案して理解してもらいました。 編集部: ほかに変化を感じることはありますか? H・Sさん: 心臓も切除した肺の方に引っ張られて半回転しているせいか、脈が速くなり、1分間に100~110回の頻脈です。さらに、胸腔鏡手術の影響で肋間神経痛が時々起こるので、温めるために貼るカイロを下着の上から貼っています。ほかにも、精神科から抗不安薬を処方してもらって、お守りとして持っています。
早めの検査、医師と良い関係を結ぶことが大切
編集部: 治療中の心の支えはなんでしたか? H・Sさん: 家族や塾の生徒たち、私と同じように病気を経験した友人です。そして、私はクリスチャンなので、神さまと教会の人達にも助けられました。 編集部: 病気になる前の自分に声を掛けるならどんなことを伝えたいですか? H・Sさん: 自分の身体を過信せず、「ちゃんと健康診断や定期健診には行くように」と伝えたいです。 編集部: H・Sさんがこの病気をされた経験から、医療従事者に伝えたいことや望むことはありますか? H・Sさん: 実際に告知を受けると、平静を保つことは難しいです。逆に平然としている人の方がよりショックを受けている時もあるので、告知をする先生にはそのことをわかっていてほしいです。それから、大体の先生は最悪の事態を想定して説明してくれますが、希望を持たせる言葉や患者さんが安心できることも言ってほしいと思いました。「最高のスタッフを揃えて手術に臨みますから安心してください」など、その言葉だけで患者さんは安心できます。 編集部: 最後にこの記事を読んだ読者の方にメッセージをお願いします。 H・Sさん: 健康診断は毎年きちんと受けた方が良いということ、そして、主治医と良い関係を結ぶことです。不安なことを何でも相談できて、信頼できる先生を見つけることが大切だと思います。自分の命と心を守るためにも、毎年健診を受けること、なにか「おかしいな?」と思ったら病院へ行ってほしいです。医療はどんどん進んでいますが、早期発見に勝るものはありません。どこも痛くもなんともないと過信せず、毎年健診を受けることがその1年を安心して過ごすお守りだと思ってください。そして、もしご自分やご家族が万が一罹患しても、誰のせいでもありません。辛さやしんどさを受け止めて、家族みんなで一緒に乗り越えていってほしいです。