レッドソックスが澤村拓一との正式契約を発表…米地元紙は「試合終盤を任せる役割」
メジャーリーグのレッドソックスは日本時間17日、ロッテから海外FA権を使いメジャー移籍を目指していた澤村拓一(32)と契約したことを発表した。球団の発表によれば契約は2年で、3年目は球団、澤村サイドの両者に契約更新のオプションがある。契約内容は、前日に米スポーツメディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者が報じていたように2年300万ドル(約3億1600万円)、すべてのインセンティブをクリアして3年目にオプションを行使した場合、総額で765万ドル(約8億円)と考えられている。レッドソックスは、澤村を40人枠に入れるため、左腕のジェフリースプリングス(28)をロースターから外した。 地元紙「ボストン・グローブ」によると、レッドソックスでプレーする日本出身選手は、デイブ・ロバーツ、大家友和、野茂英雄、松坂大輔、岡島秀樹、斎藤隆、田澤純一、上原浩治に続く9人目。レッドソックスは、2018年に世界一となったが、ここ2年は優勝争いに参加できず、昨年はア・リーグ東地区の最下位と低迷していた。チームの補強テーマは投手陣の立て直しで、巨人からポスティング申請された菅野智之や、ヤンキースからFAとなっていた田中将大にも獲得オファーを出していた。だが、新型コロナの影響を受けて、緊縮財政を余儀なくされている事情もあって合意に至らず“手ごろ”な澤村に白羽の矢を立てたと考えられている。澤村にはセットアッパーの役割が期待されていて、前出の「ボストン・グローブ」も「澤村が補強を続けているブルペンに厚みをもたらす」と記した。 チームの昨年の救援防御率は5.79(リーグ14位)。クローザーはナックルカーブを武器とするマット・バーンズだが、昨年の成績は、防御率4.30、1勝3敗9セーブとふるわなかった。セットアッパーには元広島のライアン・ブレイシアらがいて、この1月にはトレードでライバルのヤンキースからアダム・オッタビーノを獲得した。 澤村には、勝利方程式の一人としての期待があり、地元メディアの「マシブ・ドットコム」は「ブルペンで澤村の正確な役割はまだ分からないが、バーンズや新しく加わるオッタビーノと並んで試合終盤を任されると見られる」と分析。 MLB公式サイトはさらに詳しく役割を予測した。 「32歳で90マイル半ば(150キロ強)の速球とカギになる武器としてスプリッターがある。彼にはバーンズ、オッタビーノ、ダルウィンソン・エルナンデスを含めた終盤の中継ぎを助けるというボストンでの大きな役割がある。現在、チームのクローザーは決まっていない。バーンズとオッタビーノには抑えの経験があり、チーム関係者からは、24歳のエルナンデスがクローザーを果たすに十分な力のあるボールを持つという声もある。アレックス・コーラ監督は、9回の投手起用で悩まされる可能性もあるが、澤村の加入は、そのコーラ監督の試合終盤での采配に重要なオプションをもたらすだろう」 澤村は、昨年途中にトレードで巨人からロッテに移籍。セットアッパーとして22試合に登板して防御率1.71、0勝2敗、1セーブ、13ホールドの成績を残してチームのクライマックスシリーズ進出に貢献した。150キロ台のストレートに150キロ台の超高速スプリットを織り交ぜて、21イニングで29三振を奪い、パワー野球のパ・リーグでも存分に力を発揮したが、オフに「憧れと夢がある」と、長年の夢であったメジャーリーグ移籍を希望して海外FA権を行使した。ジョン・ボッグス氏を代理人に立て、自らも渡米して交渉を進めていたが、複数のオファーの中からレッドソックス1本に絞って最後の詰めに入っていた。