【50歳代】単身世帯の平均貯蓄額は1391万円・中央値80万円!60歳代・70歳代は?老後に向けて知っておきたい「年金暮らし」の実態
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の高齢者世帯の59.0%が「生活が苦しい」と回答しています。 ◆【貯蓄事情】50~70歳代世代の貯蓄額&老後の家計収支をグラフで見る なお、前年度の同調査と比べて、生活が困窮した高齢者世帯が10ポイント以上増加傾向となっています。 この背景には、近年続く物価高の影響から、年金が実質目減りとなっていることが要因の一つとして考えられます。 「老後は年金で悠々自適に生活する」と考えている方もいるかもしれませんが、現代では低年金が続いていることから、年金だけで100%生活できる人はそう多くはありません。 そのため、老後も就労したり、貯蓄を取り崩したりしながら、老後生活を送る必要があります。 では、老後を目前に控えた50歳代・60歳代と、老後を迎えている年代70歳代の貯蓄事情はどのようになっているのでしょうか。 本記事では、シニア世代の平均貯蓄額や貯蓄割合といった、貯蓄事情について詳しく紹介していきます。 老後に向けて知っておきたい「年金暮らし」の実態についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
50歳代・単身世帯の平均貯蓄額は1391万円・中央値80万円!
まずは、50~70歳代の平均貯蓄額から見ていきましょう。 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、単身世帯・二人以上世帯の50~70歳代の平均貯蓄額は下記のとおりです。 【単身世帯 50歳代~70歳代の平均貯蓄額】 ・50歳代:平均値1391万円・中央値80万円 ・60歳代:平均値1468万円・中央値210万円 ・70歳代:平均値1529万円・中央値500万円 次に、二人以上世帯について見ていきます。 【二人以上世帯 50歳代~70歳代の平均貯蓄額】 ・50歳代:平均値1147万円・中央値300万円 ・60歳代:平均値2026万円・中央値700万円 ・70歳代:平均値1757万円・中央値700万円 平均値をみると、どの年代も1000万円を超えていることから「老後までにしっかり貯蓄ができている」と思ったかもしれません。 しかし平均値は極端に大きな数字があると、その値に偏る傾向があるため、あまり実態に近い数値とはいえません。 一方で、中央値は数字のちょうど真ん中にある値を指しているため、実態に近い値として参考にしやすい数値と言えるでしょう。 各年代の中央値をみると、どの年代も1000万円以下となっており、特に50歳代単身世帯においては80万円しかありません。 さらに、平均値と中央値に約1000万円の差が生じていることから、各年代で貯蓄格差が広がっていることがみてとれます 次章では、50~70歳代の「貯蓄が全くない世帯」と「貯蓄2000万円以上保有世帯」の割合を見ていきます。 ●単身世帯は「貯蓄が全くない世帯」が多い傾向に。シニア世代の貯蓄事情 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50~70歳代の貯蓄割合は下記のとおりです。 【単身世帯 50歳代~70歳代の貯蓄割合】 ・50歳代:金融資産非保有 38.3%・貯蓄2000万円以上 13.7% ・60歳代:金融資産非保有 33.3%・貯蓄2000万円以上 23.1% ・70歳代:金融資産非保有 26.7%・貯蓄2000万円以上 25.5% 【二人以上世帯 50歳代~70歳代の貯蓄割合】 ・50歳代:金融資産非保有 27.4%・貯蓄2000万円以上 16.6% ・60歳代:金融資産非保有 21.0%・貯蓄2000万円以上 30.0% ・70歳代:金融資産非保有 19.2%・貯蓄2000万円以上 27.1% 単身世帯、二人以上世帯ともに、年齢が上がるにつれて金融資産非保有率が減少し、2000万円以上の貯蓄を持つ割合が増加していきます。 しかし、どの年代も金融資産非保有と貯蓄2000万円以上の割合が、全体の約半数を占めていることから、「貯蓄が全くない世帯」と「貯蓄が十分にある世帯」で二極化していることがわかります。 特に単身世帯においては、どの年代も金融資産非保有のほうが貯蓄2000万円以上の割合を上回っており、生活が困窮しているシニア世代が多いことがうかがえます。 老後2000万円問題が大きな話題となっているように、現代においては年金収入以外にも生活費をカバーするための資金が必要になってきています。 では、老後の生活費として、毎月どのくらいの赤字が発生するのでしょうか。 次章では、老後に向けて知っておきたい「年金暮らしの家計収支」について見ていきましょう。