【選手権】前橋育英が堀越に1‐0完封勝利 2試合連続2失点の教訓
第103回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝4試合が2つの会場で行われた。千葉県にあるフクダ電子アリーナでは前橋育英(群馬)と堀越(東京A)が対戦。 【フォトギャラリー】前橋育英 vs堀越 試合は0-0で迎えた後半15分、バー直撃のシュートの返りを前橋育英FW8オノノジュ慶吏(3年)が押し込み、先制。これが決勝点となり、前橋育英が1‐0で勝って、準決勝進出を決めた。殊勲のFW8オノノジュ慶吏は「シュートがふかしそうだったので、インサイドで決めました」と冷静に決めた決勝弾を振り返った。 コンディション不良の選手を抱える苦しい台所事情ながら、競り勝った前橋育英の山田耕介監督は「堀越はオーソドックスなチーム。その堀越に対し、いつものことをやっていこう、前橋育英らしくやろうと伝えました」と明かした。一方、松山北(愛媛)との3回戦で4得点2アシストと全得点に絡んだ堀越FW10三鴨奏太(2年)に対し「あまり良いプレーが出なかったので助かりました」と話すとともに「コンパクトにしてインテンシティのある連動性でやっていこう」と対策を敷いた。 これにDF2 鈴木陽(3年)は「堀越の10番の選手(MF10三鴨選手)のマークの受け渡し、あと11番の選手(FW 髙橋李来・2年)はボールを収めるのがうまいので、センターバックとボランチで連携しながら、うまく守れました」と回遊するFW10三鴨、ポストプレーのFW11髙橋、この2トップを自由にさせなかったことが功を奏した。 前橋育英は2回戦の愛工大名電戦、3回戦の帝京大可児戦と2点先制しながら、追いつかれる、ドタバタした、非常にもったいないゲームをした。しかし今回は守備が引き締まっていた。特に堀越が攻勢を仕掛けた後半20分以降、押し込まれながらも地上戦、空中戦ともにソリッドな守りを見せた。 「ゼロに抑えることは試合前から意識していました。バックライン全員が失点に対してアラートにできていました。ゼロで抑えられたことは成長できた部分」(MF14石井陽・3年) 「守備陣としてはふがいない試合が続いたので、ゼロで抑えられたのはよかったです。DFとして失点すること自体、責任がありますので、試合前は無失点することだけを考えました。あとは攻撃陣が必ず決めてくれると思っていたので、信じるだけでした」(DF2鈴木陽) 2試合連続2失点。不運な失点はあったが、イレブンには骨身に染みた、いわば教訓。良薬は口に苦しというべきだろう。 一方、2年連続ベスト4進出とならなかった堀越・佐藤実監督は「プレミアリーグEASTを戦う前橋育英の強度感、圧のようなものを、ゲームを通して感じました。内容というより、ひとりひとりの持つポテンシャル、チームとして持っているポテンシャルが足りなかったことが今日の結果になりました」と振り返るとともに「これが結果ですが、十分評価していいと思います。連続で(全国大会に)来ていることに意味があると思います。代が入れ替わったり、人(選手)が変わると難しくなるのが学生スポーツ。(前回の)結果を受けて、またここに来られていることは、彼らの力はすごいなと感じます」と選手を称えた。 なお、前橋育英のベスト4進出は優勝した第96回大会(2017年度)以来。1月11日に行われるファイナルを賭けた東福岡(福岡)との準決勝までの1週間、山田監督によれば地元には帰らず、御殿場(あるいは静岡県内)で調整を行うことを明らかにした。 (文・写真=佐藤亮太)