日本ワイン、世界で「メダルラッシュ」 サントリーやマンズワイン…注目の受賞銘柄
■ワインの生産に不向きの気候
フランスで開催される「ヴィナリ国際ワインコンクール」では、マンズワインの「ソラリス マニフィカ 2017」が日本の赤ワインでは初めて最高賞のグランド・ゴールドに輝いた。同ワインは長野県産のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンド。ヴィナリ国際ワインコンクールは1994年の創設で、2024年は世界636の生産者から2927本のワインが出品され、148本にグランド・ゴールドが授与された。 雨が多く、収穫期に台風や大雨の被害にも遭いやすい日本は、もともとワイン用ブドウの栽培には向いていない。現代的なワイン醸造の歴史が浅いことも加わり、世界のワイン市場からは無視され続けてきた存在だった。それがなぜ急に、日本ワインの評価が高まっているのか。 「栽培・醸造技術の向上」と指摘するのは「日本ワインコンクール2024」で審査委員長を務めた山梨県産業技術センター主幹研究員・部長の恩田匠さんだ。同コンクールは日本ワインを対象に2003年に創設された。2024年は過去最多の161ワイナリーが参加し、941本を出品。うち2本が最高賞のグランドゴールド賞、36本が金賞に輝いた。
■勉強熱心な醸造家、栽培・醸造技術の向上に貢献
グランドゴールド賞は出品ワインの品質が年々向上していることを受け、2024年に新設された。30人の審査員の中には4人の外国人審査員が含まれ、国際的な評価も反映されるようになっている。栽培・醸造技術が向上している理由を恩田さんは「勉強熱心な若手の醸造家が多く、ブドウやワインの成分の化学分析などもしっかりやっている」と説明する。 若手醸造家の中には、フランスなど本場で修行してから日本でワイン造りを始める人も多い。一方、国内にワイナリーが増えたおかげで、海外に行かなくても実践的な経験を積める機会も増えている。 日本ワインの評価が高まっている2つ目の要因は、既存のワイナリーが試行錯誤を続けてきた結果、日本の気候や土壌に適した栽培方法やブドウ品種が徐々に分かってきたことだ。マンズは独自の「マンズ・レインカット栽培法」でブドウを育てている。ブドウの木をビニールで覆う栽培方法で、日本の気候のハンディを克服するために考案された。登美の丘ワイナリーは数年前、山梨大学と共同開発した「副梢(ふくしょう)栽培」と呼ぶ技術を導入。メルローなどの品種に適用している。