感謝や笑顔とともに――ジーコのチャリティーマッチでスターたちが共演
文 藤原清美 12月はブラジルの選手や元選手たちにとって、休暇を生かして積極的に慈善活動に取り組む季節。12月27日には、ブラジルサッカーの1年を締めくくる、年末恒例ジーコのチャリティーマッチが開催された。出場する選手や観客の誰もが「毎年マラカナンを満員にできるのはジーコだけ」と語る通り、第19回を迎えた2023年も、5万1000人の観客が訪れた。
久々に参加した大物も
今回の1点目は元ブラジル代表であり、フラメンゴのアイドルであるアドリアーノが決め、スタンドは「皇帝が帰ってきた」のチャントで大いに盛り上がった。 久しぶりの出場となった選手もいる。鹿島アントラーズでもプレーしたレオナルドは、ヨーロッパでミランやパリ・サンジェルマンなどビッグクラブのディレクターを務めていた時期が長い。フリーの現在、故郷で年末年始を過ごしている機会を生かして参加した。 選手たちが通る取材エリアでは、そのレオナルドに写真やサインを頼むメディア関係者が続出し、人気ぶりがうかがえた。それにはにこやかに応じながらも、職業柄なのか、インタビューにはほとんど答えていない様子だったので、今回の参加についてのみ聞いてみると、笑顔で語ってくれた。 「ジーコは僕らみんなにとって大事な存在だ。そして、僕にとっては永遠のお手本。だから、ここに来られるのはとてもうれしいことだよ。可能な限り、毎年来たい。ジーコと一緒にいられるのは子どもの頃からの夢だったんだから。アイドルであり、友達であり……すべてだよ。僕らにとって、ジーコはすべてを意味する存在なんだ」 これを話してもらうのに、何度も中断された。会場に到着する選手たちも彼を見つけてうれしそうに、次々と通りすがりに声をかけていったからだ。 ジーコと近況を語り合えることを喜んでいる選手たちも多い。元ブラジル代表で、クルゼイロやパルメイラスでも活躍したMFアレックスは、2021年から監督の道を歩んでいる。 「ジーコは僕の幼少時代からのアイドルで、その後、トルコのフェネルバフチェで僕の監督になった。今は友達として、ここマラカナンでまた彼と一緒にいられるのが本当に幸せだ」 元鹿島アントラーズのアルシンドは、サポーターにメッセージを送ってくれた。 「2023年は娘が生まれて、今は7カ月。僕にとっても新たな人生の始まりだった。足首の手術もしてちょっと大変だったけど、今日は楽しんでプレーするよ。僕はジーコのチャリティーマッチの常連だからね。幸せと親愛を込めて、日本の皆さん、トモダチナラ、アタリマエ!」 長年アルゼンチン代表でプレーし、ブラジルではインテルナシオナウの英雄だったアンドレス・ダレッサンドロも、住まいのあるブラジル南部ポルト・アレグレ市から駆けつけた。同市が地元であるドゥンガの慈善活動にも積極的に参加している。 「ジーコとドゥンガは僕らのお手本だよ。サッカーで偉大な勝者となっただけでなく、今も助けを必要とする人たちに手を差し伸べている。こうして参加できることに感激しているんだ。サッカーは僕らに、尊敬すべき彼らや、他の選手たちと力を合わせる機会を与えてくれた」