トレンドの宝庫「アットコスメトーキョー」を視察!トレンドの見つけ方を探る
また、「ファッションショーは、デザイナーから社会への問いかけである」(村上編集長)とし、その代表格として18年に黒人として初めて「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任したヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)を紹介した。彼は、ガーナ系の移民で黒人というバックグラウンドからマイノリティであることを意識してファッション業界でキャリアを歩んでいた。そんな彼による初の「ルイ・ヴィトン」、19年春夏メンズを題材に、彼のダイバーシティやインクルージョンという主張がどう表現されているかを解説した。「招待客に序列をつけたくないという考えから、長いランウエイを用意して全員を1列目に案内した」など、服やモデル、会場、来場者といった要素からひもといた。
改めて、トレンドとは「デザイナーやブランドがショーを通して社会に投げかけるものの共通点である」と村上編集長は総括。村上編集長が25年春夏のミラノ、パリ・コレクションで見つけた共通点を列挙し、傾向を解説した。近年は、一つのトレンドが絶大な影響力を持つことは少なくなり、あらゆる場所でさまざまなトレンドが局地的に発生している流れにも言及。トレンドが伝播する流れを説明し、トレンドが流行る理由や流行らない理由を想像してビジネスへの影響を考える重要性を伝えた。
2限目
注目ブランドのファッションショーを一緒にチェック
アナタは「問いかけ」を受け止められる?
1限目の実践編として、2限目はファッションショーを鑑賞してデザイナーの問いかけを読み解く練習をした。題材は、22年リゾートの「グッチ(GUCCI)」と25年春夏の「プラダ(PRADA)」。コレクションが開かれた会場や当時の世界情勢、デザイナーの思想などの説明を踏まえ、ショーを鑑賞した。「グッチ」に対して、ある参加者は「戦争に対するアンチテーゼを表現していると感じた。服のモチーフに多用された星には、『戦争などが起きる暗い状況にも光はある』という思いが込められているのでは?透け素材には、『裸になったら皆、同じ人間』というメッセージが込められていると思う」とコメントした。村上編集長は当時、多くのデザイナーがウクライナ侵攻を憂いてウクライナの国旗をモチーフとして使用したりカーゴパンツをあえて打ち出したりするなどのブランドが散見されたことを添え、参加者の意見に同調。そのほか、象徴的なサングラスに対しては「エイリアンを表現して、地球以外に住む生命体ももはや地球に降り立って我々と変わらないような生活を営んでいるという思いを込めているのでは?」と推測するなど、それぞれの視点から2つのファッションショーをひもといた。