冬山登山の魅力と遭難しないための心得
12月に入り、本格的な冬山シーズンを迎えました。年末年始にかけて登山を楽しむ人がいる一方、毎年多くの遭難事故が発生しています。そのため、登山者らに遭難防止を呼び掛ける各自治体の動きが活発化しているようです。 同じ山であっても、夏に比べると難易度がはるかに増す冬山。安全に登山するには、どんな点に気を付けたら良いのか、まとめてみました。
冬山の危険性
今年2月には、全国の登山者が集中する北アルプスの2012年から2013年2月の冬山シーズンの遭難件数は過去10年間で最悪との報道もありました。長野県では34件の遭難が発生して14人が死亡(2012年12月~2013年3月)、富山県では2件の遭難が発生して4人が死亡(2012年12月~2013年2月)しています。
年々増加傾向にある冬山の事故ですが、一体どんなところに冬山の怖さがあるのでしょうか。 冬山の登山に潜む危険性は大きく二つ。一つは寒さ、もう一つはルート確保の困難さです。冬山は気温が低いため、防寒対策が欠かせません。また、その多くが雪山となり、雪で道が埋まったり標識が隠れたりすることがあります。さらに、吹雪でホワイトアウト(視界が白一色となり、方向感覚を失うこと)状態になる恐れもあります。そのため、現在地を正確に把握できる高度な地図読みの知識が必要となります。また、歩行ができたとしても、雪の斜面は滑りやすいため、滑落の危険性も高まります。夏山に比べて、求められる知識や経験、技術の質が上がるところに、冬山登山の難しさがあるといえます。
登山前に準備したい3つのこと
冬山に挑戦する際、事前に準備すべき3つのポイントをまとめてみましょう。 1)余裕のあるプランニング 凍結や積雪で登山道の状況は変化します。さらにアイゼンやスノーシューを用いた歩行を強いられるため、行動時間は夏山と比べると長くなりがち。日没までの時間も早いため、ゆとりのある登山計画を立てましょう。 2)雪崩・ホワイトアウト対策 目的の山域の雪崩が発生しやすい場所を事前に調べること。その場所に立ち入らない、もしくは長時間とどまらないことが重要です。雪崩に関する講習会に参加すると、より理解が深まります。また、ホワイトアウトが起こりそうかどうかは事前の天候確認の徹底やリサーチが欠かせません。万が一、そのような場面に遭遇した場合は、無理に動かず天候の回復を待ってから行動します。 3)登山届(計画書)と山岳保険 滑落や遭難など、山中で万が一救助が必要になった時、登山届があれば捜索範囲が絞られ、救援活動を効率的に行いやすくなります。また、救助にはヘリコプターなどが出動することが多く、その費用は数十万にも上ります。そのため、保険に加入してリスクに備えるのもよいでしょう。