病気や介護にかかるお金は心配しなくていい…和田秀樹が「定年後は堂々と遊んで暮らせ」と説く理由
■個室に入っても年金で足りる施設はいくらでもある よく、年金だけでは赤字になる人のことが、情報番組で取り上げられますが、いわゆる老後の蓄えがあるなら、それを取り崩して赤字を埋めるのは、なにも問題はないと私は考えます。 それでは、大病したときや介護が必要になったときに備えられないと思うかもしれませんが、それなら病気になったときのための保険に入ったりすればいいし、健康保険には高額療養費制度があるので、自己負担限度額以上のお金は後で払い戻されることになっています。 介護費用についても、介護保険があるので、個室に入っても、年金で足りる施設はいくらでもあります。 また、多くの場合、だんだん身体が弱ってくると広い家はむしろ邪魔になるので、家やマンションを売って、狭いところに引っ越せば、それでもまとまったお金はつくれます。 資本主義の世の中では、お金を持っている以上に、使うことで経済も回るし、よいサービスが受けられます。 ■「お金を貯めることが美徳」を脱却しよう たとえば、孫にしても、お金持ちだけどケチなおじいちゃん、おばあちゃんより、大してお金持ちではないけれど、何万円もお年玉をくれる祖父母のほうになついてくるでしょう。 私なども映画を撮っている関係で、いろいろとスポンサーになってくれそうなお金持ちの紹介を受けるのですが、いくらお金持ちでも、スポンサーになってくれそうにない人とはつきあいたいとは思えないのです。逆に出資してくれるなら(映画の場合、ヒットすれば儲かることはあります)、もしその人が医療や何かで困ったことがあれば、できるだけのことをしたいと思います。現金な人間だと思われるかもしれませんが、こういうことは私に限ったことではないでしょう。資本主義の世の中では(お金を使ってくれる)お客様は神様なのです。 また、お金を稼ぐ能力のある人にとって、お金を稼ぐことは、新奇な体験ではないので、脳の前頭葉という部分を大して使うことにならないようです。お金を使うほうが脳も使うし、気分もワクワクして免疫機能も上がります。 自分のしつけ直しとして、稼ぐ、貯めることが美徳という考え方から、使うことこそすばらしいと思えるようになりたいものです。 ---------- 和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医 1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」 ----------
精神科医 和田 秀樹