「1家4人」でV12を堪能! フェラーリ612 スカリエッティ UK中古車ガイド 秀抜な操縦性に実用性を融合
新車時代のAUTOCARの評価は?
史上最も多様な能力を持つフェラーリ、と表現できることは間違いない。更に美しいデザインを得ていたら、AUTOCARでは満点の評価を与えていたはず。動的能力とパッケージングは、間違いなくそれに値する。 ステアリングホイールを握っている限り、スタイリングのことは忘れられる。サイズと重量を意識させることなく、世界で最も多能なグランドツアラーとして評価すべき、素晴らしい才能を体感できる。 価格は確かに高い。それでも、ここまで扱いやすくマナーの優れたフェラーリは、他に例がない。(2004年5月25日)
オーナーの意見を聞いてみる
ロバート・ホワイトヘッド氏 「2006年式の612 スカリエッティ HGT-Sを所有しています。かなりロングでワイドですが、バランスが良く回頭性に優れていますね」 「ステアリングの重量感も理想的で、フロントタイヤのフィードバックが、しっかり伝わってきます。路面が凍結していても、リアのグリップは素晴らしい。唯一の欠点といえるのは、ボンネットが長い割に、足元のスペースが狭いことでしょう」 「1番気に入っているのは、最高のV12サウンド。エンツォ・フェラーリのサウンドに近いと思います。許す限り、窓ガラスを開いて運転しているんですよ」
購入時に気をつけたいポイント
■ボディ 雨の当たる環境に長時間停めておくと、ヘッドライト内に水が侵入するという報告が、多くのオーナーから寄せられている。防水シールの劣化か、製造不良の可能性がある。交換用ユニットは、1つ約1000ポンド(約19万円)だ。 ■トランスミッション 渋滞のように発進と停止が繰り返される環境では、セミATのクラッチポジション・センサーが不調になる場合があるようだ。 ■エンジン 612 スカリエッティが搭載するV12エンジンは、タイミングチェーン時代前のユニット。タイミングベルトは、4年毎の交換が推奨されている。費用は4000ポンド(約76万円)ほど必要になる。 ■タイヤとホイール・ブレーキ 19インチか20インチのホイールと、それに組まれるサイドウォールの薄いタイヤは、アスファルトが剥がれた穴などでダメージを受けやすい。徹底的に状態を確かめたい。 HGT-Cパッケージが装備するカーボンセラミック・ブレーキは、時々強くブレーキングすることが機能維持の秘訣。優しく扱い続けると正常に動かなくなり、減っていなくても交換することに。その費用は、1万5000ポンド(約285万円)以上になる場合も。 ■インテリア タコメーターの左側にモニターが備わるが、この技術をフェラーリが量産車へ採用したのは、612 スカリエッティから。そのため、バックライト不調などの不具合は生じやすい。フェラーリは、約7000ポンド(約133万円)する新品への交換を推奨している。 スイッチ類の表面のコーティング素材が、高温になると溶け出し、手や衣服に付いてしまうことがある。しばらく乗られていない場合も剥がれがち。 長期間日光にさらされると、内装のレザーがトリム部分などの境目から収縮する場合がある。屋外への駐車時は、フロントガラス・シェードなどを活用したい。