中国発着の国際線、中国系航空会社の優位性が鮮明、外国航空会社が次々に運休、便数はコロナ前の6割
中国の航空会社が国際線でのシェアを伸ばしている。西側諸国の航空会社が、中国人海外旅行の低迷や、ロシア上空の飛行禁止によってコストが上昇していることから、中国への路線を縮小しているためだ。中国の航空会社の中国発着国際便の割合は、コロナ前よりも高く、その割合はさらに拡大しつつある。 中国の航空会社は、2022年にウクライナで戦争が勃発して以来、ロシアの広大な空域を経由して欧州や北米へ最短北ルートで飛び続けている。これによって、中国の航空会社はコスト面での優位性を拡大し、国際線市場でより大きなシェアを獲得することができた。 大手航空データ分析OAGのシニアアナリストであるジョン・グラント氏は、「中国の航空会社は、国際的なライバルよりも最大30%もコストが低い。外貨獲得を切望している中国の航空会社は、国際線拡大に乗り出している」と話す。 フライト追跡サイトのFlightradar24によると、ブリティッシュ・エアウェイズのロンドン/北京便は、中国南方航空の同路線よりも約2時間半長くかかる。
外国航空会社による中国路線はコロナ前の60%どまり
ブリティッシュ・エアウェイズは、ビジネス上の理由で2024年10月下旬からロンドン/北京線を1年間運休すると発表。7月には、ロンドン/香港線で毎日2便のうち1便を運休した。また、ロンドン/上海便を中国南方航空とのコードシェアを再開する。 ヴァージン アトランティック航空は先月、飛行時間が長くなったことを理由に、10月末からロンドン/上海便を無期限で廃止すると発表した。これによって、両航空は貴重なヒースロー空港の発着枠をより収益性の高い路線に割り当てることができるようになる。 カンタス航空は、7月にシドニー/上海線を運休。理由は、中国発の旅行需要が低いためだ。ロイヤル・プルネイ航空も10月から週2便で運航している北京便を「市場環境」を理由に運休する。 ロイター通信が大手航空データ分析シリウムのスケジュールデータを分析したところ、2024年7月の中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空などの中国の航空会社の国際便は2019年7月の90%。ただ、国際線搭乗者については、国内経済の低迷や国内旅行の需要増などで、他国よりも回復が遅れている。 一方、外国の航空会社の便数はコロナ前の60%にとどまっている。その中でも、中東の航空会社は中国路線を復活させている。エミレーツ航空は、中国への座席供給量を完全に回復。クウェート航空は増便を続け、バーレーンのガルフ航空は5月に中国の2都市に新規就航した。