健康のバロメーターは「声に張りがある」こと、中尾ミエが「70歳を過ぎても現役」でいるための心得とは
ところが多くの人が、いちど、頭が良くなった人間は、そのまま悪くなったりしないと思っている節がある。東大を出た人間が一生、賢いかというと、そんなことはありません。その後、ちゃんと勉強を続けていなければ、バカになるに決まっていますよ。 中尾 身体と同じですね。いちど鍛えたらもうやらなくていい、というわけにはいきません。ずっと続けなくてはいけない。 和田 スポーツ選手なんかは、引退後にガクンと運動量が減る反面、食べる量が変わらない。結果、暴飲暴食になりやすく、かえって早死にするケースも多い。
中尾 怠慢太りみたいなものですね。人生のなかで、「自分を酷使する時代は終わった、あとは楽をしたい」と思ってしまう。でも、一生元気でいようと思うならば、楽はできないと思います。極論を言えば、それは死ぬまで続くと思います。 和田 プロスポーツ選手は身体を鍛えることが職業だったから、仕事から解放されて引退してしまうと、趣味として身体を鍛えるというような感覚がないのかもしれないですね。 ■今日できたことが明日もできる保証なんてない
中尾 それでもきちんと引退後も身体を鍛えてらっしゃる方は一握りなのかもしれないけれども、いらっしゃいますよね。そういう人たちはさすがに健康な生活を送られている。 そう考えてみると、維持するというのが、いちばん大変なことですね。実際にやることはそこまで大変なことではないけれども、継続が難しいと思います。 和田 維持するという考え方はバカになりませんよ。認知症の人も含めて高齢者は放っておくとできないことが日々増えていってしまう。今日できたことが明日もできる保証なんてないわけですから、それが毎日できるだけでも、年を取っていないことの証拠だと思いますし、認知症を進めないための重要なポイントなのです。
認知症と診断された時点では、物忘れはあってもきちんと話すことはできます。料理もできるし、買い物もできる。だから重要なのは、これ以上、認知症の症状を進行させないことなのです。そのためにはどうしたらいいですかとよく聞かれますが、とにかく今できることをなるべく減らさないようにすることだと、私はよく言います。 たとえ認知症でなくとも、放っておくと今できることがどんどんできなくなるというのが、老化なんですよね。アンチエイジングにおいて、本当に重要なのは、中尾さんが今、おっしゃられたこと。ずっと続けていくこと。維持することなんだというのは、とても大事な発想です。