“裕福な暮らし”をしていた80代の仲良し夫婦が、福井の火葬場で焼身自殺。いったいなぜ…? 老夫婦が壮絶な心中を図った“悲しすぎる理由”
もともとそういう性格だったのだろう。近所付き合いも薄く、近所に住む親戚にもあまり頼ることはなかった。周囲の人いわく、もともと無口でとても気難しい人だったようで、奥さんしか信用していないようなかんじだったそうだ。非常に優しく、真面目な方だったのかもしれない。
夫の身体にも不調があらわれ、入院することに…
しかし、やはりそのままでは生活が辛くなる一方。そこで親戚の再三の説得のおかげで、週1回の頻度でデイサービスに奥さんを預けるようになった。 大変だった介護生活にもわずかだが余裕ができ、好転するかに思えた。 しかし、運命の歯車は残酷だ。ここでさらに悪い出来事が重なってくる。 今度は旦那さんの身体にも不調があらわれたのだ。 もともと患っていた痛風が悪化し、頻繁に痛みの発作が起こるようになった。 やがて庭木の剪定をしているときに倒れ、自分も入院することになってしまった。 このときの入院が、不幸な選択をするきっかけになったのかもしれない。
妻の認知症もどんどん進行し…悲壮な決意に突き動かされてしまった
どこへ行くにもいつも一緒だった奥さんだが、入院生活のあいだは自分のそばにいない。妻はどんどん認知症が進んでいく。もう夫である自分のこともあまり記憶していないみたいだ。そんなときに自分ももし病状が悪化してずっと入院生活になってしまったら、夫婦は引き裂かれてしまう……。 そんな考えに陥ってしまう気持ちもわからなくはない。 唯一心を許していた奥さんである。離れ離れになってしまうくらいなら……。記憶にも残らなくなって、心も離れてしまうくらいなら……。 そんな悲壮な決意に突き動かされてしまったのかもしれない。 旦那さんは持っていた土地などを市に寄付すると、遺言書に書いた。 それらの固定資産は、評価額で680万円にものぼる。 しかし、市は「いずれも市として有効な活用策が見出せない」として、寄付を受ける権利を放棄し、旦那さんの親族に相続されることになった。 この事件は火葬場云々よりも社会問題として非常に関心が寄せられた出来事である。このようなことが繰り返されないことを願うばかりだ。
下駄 華緒/Webオリジナル(外部転載)
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