〈米国マクドナルドの危機!〉日米株価乱高下の背景と日米で異なる物価との闘い、マクドナルドの5ドルセットが意味すること
一方で、日本マクドナルドホールディングスの業績は堅調だ。長引くデフレ経済から脱却すべく、商品の付加価値を高め価格もアップさせたが、消費者の支持を得ている。 今回の日銀の利上げは、このような脱デフレの動きを4月の賃上げで後押しし、その効果を確認したうえで行われている。今回為替は円高に振れ市場は乱高下したが、これによる日本マクドナルドホールディングスの高付加価値路線への影響は軽微であろう。
日本はデフレ思考に戻ってはいけない
日本と米国における物価問題の違いを、それぞれの中央銀行の動きと、それぞれのマクドナルドの位置づけを例に取ってお話したが、問題はこれからである。 特に日本の場合は、今回の円高により資源や原材料の価格が落ち着いたら、その効果を例えば中小企業等の賃上げや、経営基盤の充実に向かわせることは重要だ。一方で、多国籍企業の業績は多少圧縮されるが、4月の賃上げも今年度の経営計画もドル円140円程度であれば吸収は可能なはずである。 日本の場合は、円高に驚いて、デフレ思考に舞い戻るのは論外である。そうではなく、過渡の円安の弊害から脱しつつ、継続してデフレ克服を進めることは何としても必要だし、また可能であると思う。目先の株価に踊らされることなく、そのような観点を大切に変動と向かい合いたい。
冷泉彰彦