なぜ54歳の“キングカズ”は新天地に“4部”JFL鈴鹿を選んだのか…「J3昇格チャンスがある。情熱をこのクラブに伝えたい」
J2の横浜FCからJFLの鈴鹿ポイントゲッターズへ期限付き移籍した54歳のFW三浦知良が31日、オンラインで実施された加入記者会見に臨んだ。 カテゴリーにこだわらずに出場機会を求めたレジェンドに対して、契約延長をオファーした横浜FCを含めて、国内外の9クラブが争奪戦に名乗りをあげた今オフ。4部リーグにあたるJFLでの挑戦を決めた理由を問われたカズは、J3昇格へのチャンスがある状況とともに、鈴鹿の監督兼GMを務める実兄の泰年氏(56)の存在をあげた。 背番号は日本代表でも自身の代名詞としてきた「11」に決定。会見に先立って三重県鈴鹿市内で行われた鈴鹿の練習に参加したカズは「鈴鹿という新しい場所で、自分自身をさらに燃え上がらせていけたら」と笑顔で抱負を語った。
実兄の泰年氏が監督兼GM「ヤスさんの存在が大きい」
わずか3試合ながら悲願のワールドカップ初出場を目指す日本代表で共演した。後半アディショナルタイムの失点でアメリカ大会出場を逃した、1993年10月の「ドーハの悲劇」をカズはピッチの上で、兄はベンチで目の当たりにして涙した。 クラブでは日本リーグの読売クラブを皮切りに、ヴェルディ川崎、そしてヴィッセル神戸でチームメイトになった。神戸では2003シーズンをもって引退した兄がチーム統括部長、そしてトップチームのコーチを務め、キャプテンのカズと共闘した。 それでも、監督と選手という関係になるのは鈴鹿が初めてとなる。 日本にプロという概念すらなかった1970年代から夢中になってボールを蹴り合い、いまも親しみを込めて「ヤスさん」と呼ぶ兄が、昨年7月からGMと兼任する形で指揮を執ってきた鈴鹿をいつしか気にかけるようになっていたとカズは加入会見で明かした。 国内外の9クラブのなかから、鈴鹿を選んだ理由を問われた直後だった。 「まずはJFLからJ3に昇格できるチャンスがあるということ。そして昨シーズン、僕も何試合か見させていただいたんですけど、とてもいいサッカーをしていて、僕自身もそのなかに入ってプレーできるイメージを持てたこと。そしてやはり、兄貴でもあるんですけど、ヤスさんの存在が大きかったと思います」