中国当局、25年の人民元安容認検討 トランプ関税にらみ=関係筋
[11日 ロイター] - 中国の政策当局は、トランプ次期米大統領による通商関税引き上げに備え、2025年は人民元安を容認することを検討している。 関税引き上げに対抗するため、中国はより大きな景気刺激策が必要という認識を反映した動きという。3人の関係筋がロイターに明らかにした。 人民元が下落すれば、中国の輸出品価格が低下し、関税の影響が和らぐほか、中国本土の金融環境が緩和される可能性がある。 元安は、中国が5%という高い経済成長目標の達成を目指すとともに、輸出収入の増加と輸入品の値上げによりデフレ圧力を緩和する上でもプラスとみられる。 中国の11月の輸出の急激な落ち込みは、当局が経済の中で唯一好調な部門を守るために通貨を利用する理由となる。 実際、トランプ氏の一期目には、18年3月から20年5月にかけて、一連の報復関税発表により元はドルに対して12%以上下落した。 中国人民銀行(PBOC)や国務院のコメントは得られていない。 関係筋によると、為替相場を安定させるという通常の慣行からは逸脱することになる。 元は、人民銀が毎日公表する対ドル基準値から上下2%の変動が許容されている。当局者は、元の安定を維持すると発言することが多い。 中国人民銀行の刊行物「金融時報」はその後、「基本的に安定した」人民元為替レートの基盤は「堅固」であり、人民元は今年末にかけて安定し、上昇する可能性が高いとする記事を掲載した。 関係筋によると、人民銀がもはや元を下支えしないと表明する可能性は低いが、市場に元の価値を決定するより大きな力を与えると強調する可能性があるという。 今週の中国共産党中央政治局常務委員会では、来年は経済成長を支えるために、より積極的な財政政策と併せて「適度に緩和的な」金融政策を導入することを決定した。 今回の発表には「基本的に安定した元」の必要性について言及はなかった。7月には言及があったが、9月は言及されなかった。 関係者の1人は、貿易ショックに対抗するため、人民銀は元を1ドル=7.5元まで下落させる可能性を検討したと語った。これは現在の7.25元付近から約3.5%の元安となる。