メンテナンスをしていない古い家に住む高齢の親。地方から呼び寄せたいが「絶対に引っ越しはしない!」親の安全はどう確保する?
自治体の見守りサービスもあるが……
自治体では、「高齢者見守りサービス」として定期的に高齢の一人暮らしをしている世帯を巡回する取り組みを実施しています。しかし、こういった取り組みは、マンパワーが必要です。今後高齢者数は増加していく一方で働き手が減少していく中、どこまできめ細やかに継続できるか、難しいといわざるを得ません。
バックアップ 信頼できる知人との関係維持
転居までの間、バックアッププラン、として検討しておくのは有効でしょう。 「遠くの親戚より近くの知人」と言われるように、血縁よりも、学生時代の友だちや職場・取引先で知り合った気の合う仲間は、同じ経験を通じて、価値観をはぐくんできたことから、共通の話題も多く、年齢を重ねても本音や弱さをさらけ出せるかけがえのない存在です。 そういう貴重な知人が行き来できる範囲内に住んでいれば、お互いに支えあうことができ、会話をする機会も維持できるかもしれません。 ただしその場合には、家族にその友人の存在を知ってもらい、連絡先も伝えておく必要があります。 筆者のご相談者の中には、電話やSNSを通じて近況を知らせあうだけでなく、定期的に会って食事をして健康状態やささいな日常を愚痴りあったりして「家族以上に自分のことを理解してもらっている」という人の話をされる方もいらっしゃいます。実際に、2~3日連絡が途切れると確認しに出向くこともあるようですから心強い存在です。 ただ、知人はあくまでも知人なので、本当に医療行為が必要になったときには、家族に役割を委ねなければなりません。その場合でも、「最近の変化で気づいたことはあるか」「体調の変化が顕著にみられるようになったのはいつからか」など、かかりつけ医でも見つけられない異変が医療措置の参考になる場合もあるでしょう。
まとめ:冷静に検討できるうちに転居について話し合う
24時間、一人暮らしの老親の面倒をアウトソーシングしてもらえるサービスは理想ではありますが、現実的ではありません。一方で、どんなに生活が便利になってもAI(人工知能)が発達しても安心して委ねられるまでには至らないでしょう。 そして誰でも年を重ねていけば、自分でできることの範囲が少なくなっていくことも事実です。どうしてもかつての自分、かつての親と比べますから「大丈夫」と思ってしまう、思いたいというのが心情的には理解できます。 それでも現実を受け止めて、「弱くなっていく(親・自分)を認める」ところから始めていきましょう。 要資金として確保し、想定外の費用がかかっても「今はやむを得ない」と構えることが求められそうです。 出典 内閣府 令和6年版高齢社会白書 家族と世帯 執筆者:柴沼直美 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部